明治から昭和、戦後へとまたがる時代に活躍し、書家、篆刻家、画家、陶芸家、漆芸家、美食家....と、いくつもの括りで語られ、いずれの分野においても創意にあふれる手腕を示し、また、識る人によって伝えられる、そのあまりにも個性的な人物像と相俟って、没後半世紀以上を経た今もなお独特な存在感を放ちつづける稀代の芸術家、北大路魯山人(1883-1959)。
数奇な幼少期を送り、若くして書と篆刻で身を立て、美を希求する天賦の資質と古美術の蒐集・研究で鍛えた審美眼を「食」に発揮すべく発足した会員制の「美食倶楽部」では自ら厨房に立って腕を振るい世の食通人らの名声を博しました。
陶芸家としての魯山人を知る後世の私たちにとってみれば案外なことですが、魯山人が作陶をはじめたのは四十歳代になってから、しかもその動機というのが、自分がつくった料理を盛りつけるのにふさわしい食器がないから、というまことに率直な理由によるものだったといいます。その奔放な人物ぶりを示すエピソードのひとつといえましょう。
魯山人が北鎌倉に設けた「魯山人窯芸研究所(星岡窯)」のうちの母屋と呼ばれていた居宅は、いまは茨城県笠間市に笠間日動美術館の分館「春風萬里荘」として移築され公開されていますが、今回の展覧会は笠間日動美術館が所蔵するコレクションにくわえて、戦後の一時期来日し、魯山人と親交があった米国人ジャーナリスト旧蔵の魯山人作品群「カワシマ・コレクション」をあわせ、約90点の作品によって構成いたします。
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