確かな形を持たない"光"を如何に表すか。数々の日本画家たちが、この難問に取り組んできました。
例えば、近代化が進み、西洋画の影響を受けるようになった明治期には、欧風の空気遠近法や光の表現が積極的に取り入れられていきます。
その一つが、横山大観・菱田春草らが試みた「朦朧体(もうろうたい)」でした。
彼らは、輪郭線を描くことが主体だった日本画の既成概念を打ち破り、空刷毛で色彩をぼかして光を描くことに挑みます。
一方、昭和から平成にかけて活躍した加山又造は、蒔絵(まきえ)や揉み紙(もみがみ)といった古典的な技法を現代風に取り入れ、月や太陽を新しいイメージへと昇華させました。
本展では、画家たちが試行錯誤しながら探し求めた光の表現に注目します。明治期、朦朧体で表された光の情景をはじめとし、金箔や金泥を活かした輝きの表現、仏や伝説上の生き物などに神々しい光明をまとわせた作、さらには、現代の日本画における光の新表現まで、様々な視点から光の描写の可能性をお見せします。
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