ヨーロッパでは、直線、平面、球、正円、垂直、平行、シンメトリ、同じ形の繰り返しや写真的なリアリズムが最も洗練された美しい形であると考え、古代ギリシャの時代から近代まで、それを追い求めてきました。ピカソは20世紀初頭、ゼザンヌらの後期印象派以降の美術が低迷していることの打開策を考えていました。1904年に初めてアフリカンアートに出会ったピカソは、それまで信じて疑わなかったヨーロッパ的な考え方をすべて否定してアフリカの美術ができていることをすぐに見抜いたのです。そして、1907年に「アビニヨンの娘たち」を発表してキュビズムが開花しました。今回の展覧会では、西洋文明のような写実主義では説明できない、思いもよらないデフォルメ、フォルム、表現力、質感など、理屈ではなく観る者の心に直接、訴えかけてくる力を持ったアフリカ独特の、魂の造形を紹介します。
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