いきとしいけるものへの賛歌や、祈りに注目し、構成した展覧会。
原六郎コレクションの中から生命(いのち)への賛歌や生きることへの祈りを感じ取れる作品を選んでご紹介します。前期では円山応挙の弟子にあたる森徹山と長沢盧雪の作品を、師である応挙の「淀川両岸図巻 下図」と共に展示します。森徹山「百鶴図屏風」は、日本では長寿の象徴として親しまれている鶴と松を画題に、力強い画面構成で描いた華やかな作品です。後期では、江戸中期絵画に影響を与えたといわれる中国画家沈南蘋(しんなんぴん)の作品を展示しますが、やはり鶴や松、蘭、薔薇など、不老長寿を暗示する題材を画面に配した構成が特徴的です。また、後期では「祈り」に通じる作品として、桃山時代に描かれた「仏涅槃図」なども出品の予定です。
【前期】絵画に描かれた躍動する「いのち」
応門十哲…円山応挙の門人のうち、特に優れた10名の弟子。
その中から森徹山と長沢盧雪を、師である応挙の作品とともにご紹介いたします。
本図は、岩場に根をはる松の大樹から右へとゆるやかに海岸線がのび、その上空から波打ち際に丹頂鶴や真鶴がさまざまな姿で描かれます。鶴は姿の美しさとその鳴き声から、中国では古くから霊鳥とされて尊ばれました。日本でも「鶴は千年、亀は万年」と言われ、不老長寿のシンボルとして定着しています。また、常緑樹の松も不老長寿の象徴であり、寿ぎの意味が込められた、おめでたい絵としてみることができます。
前足を上げ、勢いよく立ち上がる一頭の暴れ馬を、少年が懸命に御そうとしている様子を描いています。躍動する馬のたてがみや尻尾は細密に描かれ、画面に動きをもたらし、またぴんと張った手綱や少年の必死の表情からも、馬の生命力と力強さ、緊張感が伝わってきます。
【後期】生命の輝き、そして不老不死への「いのり」
松に鶴、四季咲きの薔薇(長春花)などが濃密な色彩で描かれています。これらは長寿や子孫繁栄を寓意するものですが、例えば、桂と蘭は「桂子蘭孫」(他家の子孫を称える言葉)、薔薇と松は「不老長春」と、そ の組み合わせによって様々な吉祥図を意味するものとなります。また、雌雄つがいの鶴は夫婦が共に長く年を重ねられるようにとの願いを表します。
仏伝の一場面である釈迦の涅槃の様子が色彩鮮やかに描かれています。下半部には釈迦の横たわる宝台とそれを取り囲む会衆、手前には像・獅子をはじめ多数の動物が配され、画面上半部には、波を大きくうねらせる跋提河(ばつだいが)を背景に大きく天空を描き、釈迦の生母である麻耶夫人(まやぶにん)が地上に降りてくる場面を表します。
■ 古美術 出品作品
【全期】円山応挙「淀川両岸図巻 下図」江戸時代/「ぶりぶり蒔絵徳利提」江戸時代
【前期】長沢盧雪「躍馬図」、「群雀図」江戸時代/「漁父童子図」清時代/森徹山「百鶴図屏風」江戸時代/伝 酒井抱一「寿老草花図」江戸時代
【後期】「仏涅槃図」桃山時代/沈南蘋「双鶴桂子蘭孫図」「老松白鶴図」清時代/司馬江漢「冨嶽図」江戸時代/林登科「藻魚図」清時代/谷文晁「山水図」江戸時代/横山大観「海辺曙色図」明治時代
■ 現代美術 出品作家
アニッシュ カプーア/杉本博司/米田知子 など
開催概要
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会 期:2018 年10 月6 日(土)~2019 年1 月14 日(月・祝)
*前期:2018 年10 月6 日(土)~11 月21 日(水)
*後期:2018年11 月23 日(金・祝)~2019 年1 月14 日(月・祝)
会 場:ハラミュージアム アーク 特別展示室 觀海庵
時 間:9:30~16:30
*入館は16:00まで
休 館:木曜日(1 月3 日は開館)、12 月4 日‐7 日、11 日‐14 日、1 月1 日
入 館 料:一般1,100 円、大高生700 円、小中生500 円
※「Flash 1979/1988」展(会場 現代美術ギャラリー)も併せてご覧いただけます。
* 原美術館メンバーシップ会員無料、70 歳以上半額、20 名様以上団体割引。学校団体は特別料金規定あり。
*伊香保グリーン牧場とのセット券(一般1,800 円、大高生1,500 円、中学生1,400 円、小学生800 円)
*群馬県内の小中学生は学期中の土曜の入館無料。ぐーちょきパスポートのご提示により5 名様まで入館料各200 円割引。群馬県民の日(10 月28 日)は県内在住の大学生以下無料、先着20 名様にオリジナルポストカードセットをプレゼント。
問合せ: 0279-24-6585
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