【Vol.1】日本初公開!イラク出身フォトグラファー写真展「衣食住」開催記念連載企画 : Art x Diversity – 中東アーティストが切り取るリアリティ

現王園セヴィン2018/04/11(水) - 17:02 に投稿
【Vol.1】日本初公開!イラク出身フォトグラファー写真展「衣食住」開催記念連載企画 : Art x Diversity – 中東アーティストが切り取るリアリティ

アートを通して世界のダイバーシティを伝えるべく活動する「Resala」は、今年6月、イラク出身の若きフォトグラファー、シェブ・モハ(Cheb Moha)を東京に招き、アーバンな中東を写す写真展「衣食住」を開催します。

本展では、誰にとっても身近な「衣食住」をテーマに、中東湾岸諸国での人々の暮らしをドキュメントしています。開催に先駆け、アーティストについて、そして湾岸諸国の「衣」、「食」、「住」について4回の連載でお伝えしたいと思います。

第1回目の今回は、フォトグラファー、 シェブ・モハの活動を紹介します。

 

写真展を主催する「Resala」について


「Resala」はアラビア語で「メッセージ」という意味。

最近中東にまつわるニュースがよく報道される中、日本人がそれに対して持つイメージというのはネガティブなものになりつつあります。異文化を自分たちの持つカルチャーにうまくブレンドするのが日本人はとても上手なのに、偏見から入って しまうのは悲しいこと。 海外の文化や人々の生活を、素直で新しい視点から見て、感じて、ダイバーシティを学んで欲しいという思いから、「Resala 」は誕生しました。

アートな視点で世界を伝えるメッセンジャー、それが私たち「Resala 」です。

「Resala 」は、一年以上前から写真展の開催に向けて準備を、そして議論を重ねてきました。
今、中東地域と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?

私たちは、それら数ある中東地域に対するイメージに何か要素をプラスして、新しい視点を提供したいという想いで作家の選定に取り組み、シェブ・モハと出会いました。


ずっと自分のルーツを探し求めていた


3歳で出身地イラクを離れ、リビアでの暮らしを経て、12歳の時にカルガリー(カナダ)に家族で移住をしたモハ。移民としてカナダで暮らす日々の中で、自分の居場所、そしてルーツを探し求めるようになりました。

不安定な状況が続く祖国イラクの記憶はとっくに薄れている彼が、自身のルーツを求めたのは湾岸の国々。2014年のある日思い立ち片道切符を買い、思い立ってから24時間以内にはクウェートの地に立っていました。その日以来、ドバイを拠点に湾岸諸国を渡り歩くノマド生活を送っています。

「母には2、3週間したら帰ってくると告げて飛び立ったけど、まだ一度も家族の元に帰ってないんだ」

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Cheb Moha, Photo by prod antzoulis (instagram: @theonlyvillain)

 

中東地域、そしてアラブのアイデンティティーは変わりつつある


26.4kものフォロワー数(2018年4月現在)がいるモハのインスタグラムには、多くの人が連想する中東とは違う景色が広がっています。

ラグジュアリーで金ピカなドバイでもなく、保守的な服装を身にまとったイスラームな景色でもなく、アートとファッションに生きる新しいアラブのカルチャーそしてアイデンティティーを垣間見ることが出来ます。

「アラブはこうあるべきという従来のイデオロギーは、全て変わろうとしている。それはドバイだけでなく、クウェート、カタール、バーレーン、レバノン、エジプトなどでも共通していることだ。みんなが今までとは異なるカルチャーそしてアイデンティティーを構築するためにストリートカルチャー、ファッション、音楽などの分野で新しいものにチャレンジをし、互いを刺激し合っている。なぜなら、私たちが新しいアラブ・カルチャーを世界に発信しなくて誰がやるんだ!」

画像を削除しました。

Dubai x 住
何気ないドバイの路地で撮られた一枚の写真。ドバイと言えば高層ビルが立ち並ぶ風景を思い浮かべますが、路地裏では伝統的な服装で楽しく遊ぶ地元の子ども達の声が聞こえてきます。急速に開発が進む特殊な環境で育つ彼らは、伝統と新しい文化の間で新しいドバイを築いていくのでしょう。



フィルムカメラを通して人々の日常と向き合う


湾岸諸国の何気ない日常を切り取り、普段はドバイで現像後インスタグラムにアップしています。使っているカメラにもこだわりがあり、最近はマミヤ645、Yashica T4、Nikon F5、Canon AV-1、Ricoh Half-Frame Cameraを状況に応じて使いわけています。

フィルムカメラとインスタグラムの相性は決して良いとは言えないけど、フィルムカメラにこだわるのはなぜなのでしょうか?

「フィルムカメラの不完全性、自然体そして素直なところ。
あとフィルムカメラを使うと、小さい頃家族写真をよく撮っていた父のことを思い出すんだ」

カメラを人に向けると一瞬にしてその人との距離が縮まり、撮る人と被写体という関係性以上の親密な関わりが生まれると考えるモハは、丁寧に湾岸諸国の人々の暮らしを記録していきます。
そしてただ記録するだけではなく、彼はそこから、新しい中東、新しいアラブのイメージを世界に発信します。

撮った写真に手を加えないというこだわりは、人々の息遣いが伝わってくる瞬間を世界に伝えたいという彼の想いの表れです。どこかノスタルジックなのに新しい印象を与える彼の作品は、ただ単に伝統の上に新しいカルチャーを上書きするのではなく、伝統を尊重したうえで見えてくる次の世代のアラブを私たちに教えてくれます。

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Abu Dhabi x 住
エマラティ(UAEに昔からいる人々)の伝統的な踊り、アラヤダンス(Ayala dance)の様子です。太鼓のリズムと歌に合わせ、竹でできた杖を持った男性が2列になり同じテンポで体を動かすこの踊りは、古くから結束を誓いそして祝うために踊られてきました。UAEで暮らすエマラティの人口は全体の15%にしか過ぎないと言われています。ビジネスや投資の対象として世界中から注目されているUAEですが、エマラティが昔から守ってきた伝統がこの波の中でどのようにして守られていくのか重要なテーマです。



Support Us!

2018年度、「Resala」はアーツカウンシル東京に助成を頂き、若きアーティスト、シェブ・モハの写真展を開催いたしま す。

写真展「衣食住」ではドバイで数々のラグジュアリーブランドともコラボレーションするイラク出身のアーティスト シェブ・モハの写真を、彼のファッションブランドとともに展示します。 衣食住という親しみやすいテーマでキュレーションされたこの展覧会は、きっと日本にとって遠い存在の中東地域をもっと 身近にし、そして多くのクリエイティブ・マインズに新しいインスピレーションを与えるに違いありません。

会場では、作家がこだわりを込めて現像した作品(作家のサイン付き)を販売します。 またレセプションパーティーを開催し、作家の来日が実現した際には作家によるトークを予定しています。

展覧会を企画するにあたり、単に作品を紹介するだけでなく、アーティスト自身を東京に招いてトーク・レセプションパーティーを行なったり、同時に彼の作品の写真集も作りたいと考えるようになりました。初めて取り組む大きなプロジェクトをなるべくたくさんの人に知って関わって頂きたいという思いから、これらの希望を実現し展覧会を更にアップグレードするための資金をクラウドファンディングを通して集めようとしています。

みなさん、リンクより気持ちだけでも支援して頂けたらとても嬉しいです。6月まで2ヶ月、張り切って準備しますので、よろしくお願いします!

ウェブサイト http://motion-gallery.net/projects/resalatokyo
ファンディング期間 2018年3月27日―5月31日

また、うちでチラシ置いていいよ!チラシ配るよ!というサポートも嬉しいです。
素敵な写真展開催に向けてご協力お願いいたします。

→連載第2回目「【Vol.2】日本初公開!イラク出身フォトグラファー写真展「衣食住」開催記念連載企画 : Art x Diversity – 変わりゆく中東ファッションの現在(いま)」はこちら

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