「奈良美智:君や 僕に ちょっと似ている」 CURATORS TV

ARTLOGUE 編集部2012/08/01(水) - 00:00 に投稿
「奈良美智:君や 僕に ちょっと似ている」 CURATORS TV

「奈良美智:君や 僕に ちょっと似ている」のギャラリートーク

スピーカー

木村絵理子

会場

横浜美術館

会期

2012年7月14日~9月23日

展示について

一目見ると忘れがたい印象を残す子どもや動物たち。奈良美智(なら・よしとも)が作り出すものたちは、時に挑戦的であり、またある時には瞑想しているような憂いを帯びた、多彩な表情を見せてくれます。そこには、可愛らしさの奥底に秘められた強い意思や、言葉にできない感情といった、相反する営みが共存する人間の奥深さが表れ、見る者の創造力をかきたてる魅力を秘めています。 絵画やドローイングをはじめ、大規模なインスタレーションなど、多様な作品を通じて広く世界中の人々を魅了してきた奈良美智は、今、再び創作活動の原点に立ち返り、文字通り自らの手によって生み出される指の跡もあらわな彫刻など、新たな作品世界を切りひらこうとしています。 タイトル「a bit like you and me…君や僕にちょっと似ている」は、ビートルズの「Nowhere Man」の歌詞に登場するフレーズです。作家によるステートメントに記されているように、それは作家と作品の関係、さらに観客と作品の関係性を示しています。様々なレベルにおいて絶え間ない変化を続ける世の中で、人々の共感を呼び、長く残り、語り継がれるもの。それは「君」や「僕」に「ちょっと似ている」、普遍性を持つ存在であることでしょう。これまで作家の分身として送り出されてきた作品は、より自立した存在として鑑賞者と対峙し、美術が本来得意としてきた永続性のある共感関係を浮き彫りにしていくことでしょう。 本展は、作家にとって初の挑戦となる大型のブロンズ彫刻をはじめ、絵画やドローイングなどの新作109 件により構成されます。2001年に開催した国内初の大規模な個展以来、横浜美術館では11年ぶりの個展開催となり、この後、青森県立美術館、熊本市現代美術館へ巡回します。

アーティストについて

奈良美智(なら・よしとも) 1959年青森県弘前市生まれ。 1987年愛知県立芸術大学修士課程修了。1988年渡独し、国立デュッセルドルフ芸術アカデミーに在籍。2000年より海外で相次いで個展を開催。2001年には、国内で初めての大規模な個展「I DON’T MIND, IF YOU FORGET ME」が、横浜美術館を皮きりに国内5か所を巡回。その後、国際展への出品や、他ジャンルのアーティストとのコラボレーションなども幅広く手掛け、2006年には創作ユニット・グラフ(graf)とのコラボレーションによる展覧会「A to Z」が、青森県弘前市で開催された。2007~10年にかけて、滋賀県立陶芸の森で、それまでの立体作品とは異なる存在感を放つセラミック・ワークを制作。本展で初挑戦となるブロンズ作品のための塑像原型は、2011年に愛知県立芸術大学で滞在制作された。

スピーカーについて

木村絵理子(きむら・えりこ) 横浜美術館 主任学芸員 2000年より同館学芸員として勤務。現代美術の展覧会を中心に企画。最近の主な企画展に、グループ展「GOTH –ゴス–」(2007-08/肉体的生と身体に対する執着を現代美術におけるゴスと捉え、内外のアーティスト6組を紹介した)。約5か月におよぶ美術館での滞在制作により実現した「金氏徹平:溶け出す都市、空白の森」展(2009)。「GOTH」展以来、作家と共有した世代観と世代間格差の問題をテーマにした「束芋:断面の世代」展(2009-10、国立国際美術館へ巡回)。本サイトでもご紹介している「高嶺格:とおくてよくみえない」展 (2011、広島市現代美術館、鹿児島県霧島アートの森へ巡回)。 このほか、ゲスト・キュレーターとして館外の企画に携わることや、美術雑誌等での執筆、大学やシンポジウムへの出講など。2014年の横浜トリエンナーレ準備にも携わる。

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