江戸絵画の文雅 ―魅惑の18世紀

ARTLOGUE 編集部2018/09/19(水) - 02:30 に投稿

元禄年間(1688~1704)、日本は経済活動の発展により、空前絶後の繁栄を極めました。開府よりおよそ100年を経た江戸は人口100万を突破、世界屈指のメガロポリスの地位を確たるものにしました。また、大阪・京都も数十万規模の大都市へと発展します。

「都市」という新たな生活空間の誕生は、文学・演劇・美術など、多様を文化の成立・発展に結びつきます。こうした文化を端的にあらわす言葉に、「雅俗」すなわち、漢文学・和歌に代表される伝統的な「雅」と、俳諧や戯作といった新興の「俗」があります。この言葉は、ふたつの文化が画然と分かたれるものであったかのような印象を私たちに与えるかもしれませんが、実際は相互に混じりあいながら、豊かな文化を形成していったのです。こうした雅俗の混交は、当時の画壇にも当てはまります。

本展では18世紀に生まれた雅俗の絵画を、「文雅」、すなわち文芸をキーワードに見ていきます。文芸と絵画は古くより不可分の存在です。しかし、その裾野が大きく広がったのはこの時代です。人々の世相や風俗を描く「俗」なる絵画の典型という印象とは裏腹に、古典をもとにした「見立て」を繰り広げた浮世絵。王朝の風雅に対する深い理解と憧れを、絢欄たる色彩に託した琳派。そして、「雅」なるものの象徴といえる文人画においては、漢文学に対する深い素養とともに、俳諧など「俗」なる文芸が混ざり合うことによって、日本独自の情趣性を帯びてゆきます。

「文雅」をもとに、多様な展開を見せる18世紀の豊饒な絵画の競演を、どうぞご堪能ください。

【特別出品】
国宝「夜色楼台図」与謝蕪村(11月3日~18日展示)

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