明治150年記念 水彩画家・大下藤次郎展 島根県立石見美術館コレクション

ARTLOGUE 編集部2018/02/08(木) - 17:26 に投稿
《メルボルン港》1898年 島根県立石見美術館蔵

 

● はじめに● 

水彩画は、西洋に由来する絵画技法のひとつです。日本には、幕末から明治の開国を経て本格的に持ち込まれるようになりました。その後、学校教育に取り入れられたこともあって、現在では多くの人が実際に手がけたことがある、身近な絵画技法となっています。身近な技法となった要因は、絵具を水で溶けばすぐに描ける上にすぐ乾く、また道具も簡便で済むという技法の手軽さです。それゆえに、油彩で完成作を描く前の下絵やスケッチに用いられることも多く、構想を練るための補助的な技法であるという印象を持たれることもあります。
しかしながら、透明感のある美しい発色や、にじみやぼかしによるみずみずしい表現は、水彩画特有のものです。また対象を即興的に写し取ることで生まれる軽やかなリズムもその特徴でしょう。合わせて、技法の手軽さから屋外での制作に適していることも特筆されます。この水彩画に魅せられ、明治時代中期から後期にかけて、日本における発展に尽力したのが大下藤次郎(おおした とうじろう/1870~1911)です。大下は水彩画を専門とする画家がほとんどいなかった時代にその世界に飛び込み、作品制作と普及活動を通して、わずか20 年ほどの期間で、水彩画を日本全国へと広めました。
本展では、日本における水彩画の開拓者であり伝道者ともいえる大下の画業を、魅力的な水彩画作品約120 点と関連資料によりご紹介いたします。2018(平成30)年は、明治維新から150 年を迎える年であり、まさに明治時代を生きた大下の画業を通して、その時代の日本に思いを馳せる機会ともなるでしょう。なお本展は、大下の著作に序文を執筆したり、本人をモデルとした小説を発表したりするなど、大下と交流の深かった森鷗外の出身地である島根県西部、石見地域に立地し、「森鷗外ゆかりの美術家の作品」を収集する島根県立石見美術館の特別なご協力により実施するものです。 

 

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<展覧会概要>

会 場:和歌山県立近代美術館
会 期:2018 年2 月10 日(土)− 3 月25 日(日)
時 間:9 時30 分−17 時(入場は16 時30 分まで)
休館日:月曜日(ただし2 月12 日は開館し、2 月13 日が休館)
観覧料:一般700(560)円、大学生400(320)円
*( )内は20 名以上の団体料金
*高校生以下、65 歳以上、障害者、県内に在学中の外国人留学生は無料
*毎月第4土曜日(2 月24 日、3 月24 日) は「紀陽文化財団の日」として大学生無料

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