府中市美術館

長谷川利行展 七色の東京

ARTLOGUE 編集部2018/05/17(木) - 12:10 に投稿
長谷川利行《水泳場》 1932(昭和7)年 油彩、カンヴァス 板橋区立美術館

 

京都に生まれた長谷川利行(1891~1940)は、多感な青春時代を文学に傾倒し、自ら歌集も出版します。30歳頃に上京、本格的に絵画を志して作画活動に没頭し、36歳で第14回二科展・樗牛賞、翌年には1930年協会展で奨励賞を受賞するなど、一挙に画家としての天賦の才能を開花させました。しかし、いつしか酒に溺れドヤを転々とする日銭暮らしを送るようになり、病で路上に倒れ、東京市養育院で行路病者として49歳の生涯を閉じました。

独自に体得した利行の油彩画は、自由奔放な筆致と天性の明るい色彩に溢れ、当時の画壇に衝撃を与えました。関東大震災から復興を遂げつつあった昭和初期、汽車や駅、モダンなビルディング、カフェや酒場の喧騒といった街の息遣いを、速筆で鮮やかに描き出します。知人、友人、カフェの女給や子供達を描いた人物画では、どれも描かれる人に心底寄り添い、その人の本質や生命感をカンヴァスの上に描き出します。これらの作品は、その波乱に満ちた人生からは想像出来ないほど、どれも凄まじいまでの美しさと宝石のような輝きに満ちています。

絵画の現在 

ARTLOGUE 編集部2017/11/29(水) - 14:13 に投稿
津上みゆき《View, Tokyo Merry-go-round, Winter, 2017》 2017年 個人蔵
顔料、アクリル、リネン 227.3×181.8cm
courtesy of HASHIMOTO ART OFFICE photo: 長塚秀人

 

現代の絵画を積極的に紹介してきた当館の成果を継承し、未来へつなげる企画です。1990 年代から2000 年代の20 年間に制作の基礎を培った作家7 組の絵画への取り組みを解読し、彼らが制作を通して問うている、「絵画の現在形」を探ります。出品作家はみな地域との縁(出身、多摩地域の大学の卒業生、在住等)を持っています。美術大学やアトリエが多く集まるという多摩地域の特性や、その中に位置する府中市美術館の活動の特徴など、さまざまな形で「多摩発」の美術を提案していきます。

 

展覧会の見どころ

 

1 今日のわたしに、会いに行く