東京都庭園美術館

「クリスチャン・ボルタンスキー アニミタス-さざめく亡霊たち」 東京都庭園美術館 : フォト & ビデオレポート

ARTLOGUE 編集部2016/10/11(火) - 18:18 に投稿

フランス現代美術界の巨匠クリスチャン・ボ ルタンスキーの展覧会が東京都庭園美術館で開催中です。

ボルタンスキーは、映像作品やパフォーマンス性の高い作品を 制作していた初期から現在まで一貫して、歴史の中で濾過される記憶の蘇生、匿名の個人/集団の生(存在) と死(消滅)を表現してきました。

会場の東京都庭園美術館は、旧朝香宮邸(1933年竣工、国の重要文化財)であり、アール・デコ様式の邸宅を改築した美術館です。 中に入ると一見、邸宅の調度品以外は何もないように思いますが、歩いていると、どこからともなく誰かの声が聞こえてきます。 これは、ボルタンスキーが旧朝香宮邸に往来していた人たちや、そこでの会話を想像し、しかし、実際に起きたことではなく、時空間を超越した匿名の存在としての「亡霊たち」に語らせた言葉です。
他にも、かつて書庫だった部屋では豊島でサンプリングされた「心臓音のアーカイブ」(2010年)より提供された、「誰か」の心臓音に合わせて電球が明滅する《心臓音》(2005年)や、大量の古着を黄金のエマージェンシー・ブランケットで覆った巨大な山のような《帰郷》(2016年)なども展示されています。

装飾は流転する 「今」と向きあう7つの方法

ARTLOGUE 編集部2017/11/20(月) - 19:44 に投稿
山縣良和《writtenafterwards - flowers II》2017年AWコレクション Photo: Kenshu Shintsubo

 

装飾は人類と共に常に存在してきました。弔いの儀式や呪術的なタトゥーなどに始まり、ときに 形骸化しながらも、時代とともにまた新しい意味を伴い変化を繰り返し生き残ってきました。そ れはまさに生々流転と言えるでしょう。 この展覧会には7組のアーティストたちが登場します。彼らは年齢も国籍もジャンルもバラバ ラです。その表現もゴシック装飾を施したダンプカーや、様々な文化圏の模様をリミックスした 絨毯、窓のたたずまいからそこに住む人の生活や性格を想像した絵画などなど多彩なものです。 彼らは全く異なる時代や価値観を対峙させたり、実際には存在しない世界を思い描いたり、日常 生活の中の「装飾」を読み取ろうとしたりしています。彼らの試みを見る時、私たちは装飾とい う行為が、生々しい現実を複雑なまま認識するために必要な切り札だということに気がつくので す。Decoration never dies, anyway.

 

エキゾティック×モダン アール・デコと異境への眼差し

ARTLOGUE 編集部2018/08/02(木) - 21:28 に投稿
両大戦間期のフランスに花開いたアール・デコ。この時期に盛んとなった非ヨーロッパ圏の文化・美術との出会いは、アール・デコの美意識と造形に大きな影響を与えました。1909年の登場から、瞬く間にパリを席巻したロシア・バレエと1925年にアメリカから渡り、時代のアイコンとなったダンサー、ジョゼフィン・ベイカー、1922年のツタ