蒔絵

謎の蒔絵師 永田友治 ― 尾形光琳の後継者を名乗った男

ARTLOGUE 編集部2019/04/17(水) - 02:31 に投稿
永田友治(生没不詳)は、江戸時代の中期、正徳・享保年間(1711~1736)ころ京都で活躍した琳派の蒔絵師と伝えられていますが、その実像ははっきりとしていませんでした。それでも彼の作品は、尾形光琳風の意匠に倣い、独特の緑色系の青漆や、友治上げと呼ばれる錫粉を使った高蒔絵を用いる独創的なもので、漆工芸史上に異彩を放っています。彼はまた、光琳の使用した「方祝」の円印や、光琳の号「青々」に「子」を加えた「青々子」号を使用するなど、尾形光琳の後継を強く意識した名を作品に残しているのです。今展はこれを機会に永田友治の作品を集め、友治がめざしたもの、そして彼の作品の魅力や秘密について、化学分析による研究成果も交えて紹介し、謎の多い永田友治にせまる初めての展覧会です。

企画展 漆軒と印象 明治生まれの堂本兄弟・うるしと日本画の競演

ARTLOGUE 編集部2018/12/11(火) - 13:26 に投稿
堂本漆軒(どうもとしっけん 1889-1964)は、日本画家の堂本印象(1891-1975)の兄で大正末期~昭和時代にかけて活躍した漆芸家です。 本展では、漆芸の分野で洗練された美を追求した漆軒と、新しい日本画を創造し画壇を牽引してきた印象のそれぞれの芸術活動を展観するとともに、印象が図案を手がけた共作の漆器も紹介し、兄弟による美の世界を見つめ直そうとするものです。 また、漆軒の代表作に、豪華客船あるぜんちな丸(1939年竣工)の一等食堂のために制作した蒔絵の飾扉があります。 第二次世界大戦の戦禍を免れ奇跡的にのこったこの扉は、戦前の客船を伝える貴重な遺品です。この機会にどうぞお楽しみください。