状況のアーキテクチャー展
京都市立芸術大学は、1880年の開学より日本の芸術文化の火床として世界への発信基地であり続けてきました。そしていま、2023年に予定された郊外から都市部への移転を控え、改めて「芸術であること」「大学であること」「地域にあること」の意味を問い直しています。それはアートの視点から大学や地域を捉える作業であると同時に、大学や地域の視点から、独りよがりなアートを捉え返す作業でもあります。
このような問題意識から、モノゴトを多方向から捉え、その視差から世界を多元化する状況の発振に携わるアートマネジメント人材の育成を目指すプログラム「状況のアーキテクチャー」では、2016年から3年間、《物質:大学所有アーカイブの創造的な活用法を探る》《生命:ケア×アートで新たな生存の技法を探る》《社会:地域コミュニティのコアを担い得る芸術大学の活用方法を探る》という3つのテーマを掲げて活動を行ってきました。それは、芸術・大学・地域をつなぐ役割としてのアートの可能性を検討する多様性に満ちたプロジェクトを通して、身体や集団を通じて多様な知と技術を結びつけること、社会の生な現場に巻き込まれながら渦を作ることの二つを交差させ、クリティカルかつ創造的なビジョンを発振させる実験場を作り上げる試みでもあります。