モダン

コレクション展 モダンなフォルム

ARTLOGUE 編集部2018/12/11(火) - 12:47 に投稿
同館の名称にも掲げられた「モダン」(近代)という言葉。日本では一般に「現代的」、転じて「洒落た」イメージを指して使われ、一方では「モダン」という言葉自体がもはや「レトロ」な響きをも感じさせますが、本来は「新しさ」を意味するものです。 古典的な美や、それまでの潮流に対する新しさを追求した表現は、つねにモダンなものであったといえます。彫刻に斬新なユーモアや合理性を込めた堀内正和の個展にあわせて、絵画、彫刻、デザインなどの所蔵作品と資料から、各時代の作家たちが試みた「新しさのかたち」を展覧します。

企画展「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」

ARTLOGUE 編集部2018/12/05(水) - 13:12 に投稿

1928年初の国立デザイン指導機関として仙台に工芸指導所が設立されると、1933年に来日中のブルーノ・タウト(1880-1938)が顧問に招かれ、剣持勇(1912-71)らの指導にあたります。同年アントニン・レーモンド(1888-1976)と高崎の実業家、井上房一郎(1898-1993)が、井上の手がける軽井沢の家具工芸店「ミラテス」で出会います。翌年井上はタウトを高崎に迎え、銀座にも出店した「ミラテス」でタウトデザインの工芸品を販売します。同時代、世界、そして日本各地で、モダンデザインに託してよりよい暮らしを夢みた人々の交流がありました。工芸デザインが装飾から機能へ移りゆく時代の中、装飾が美であったように、機能もまた新たな美でした。そして世界的な建築家やデザイナーが、日本建築や意匠に機能性を見出したまなざしと、椅子や電気照明に代表されるモダンデザインを風土になじませようとする日本の工芸関係者のまなざしとは、ひとしく同時代同歩調のものでした。やがてその夢は、機能の枠にはおさまりきらない趣味性を帯び始めます。モダンデザインという同じ苗床から芽吹いた夢は、その後ひとりひとりの中でどのように育ったのか。そして戦争によってひとたび潰えたかに見えたその夢は、どのように受け継がれたのか…。

エキゾティック×モダン アール・デコと異境への眼差し

ARTLOGUE 編集部2018/11/20(火) - 17:49 に投稿

両大戦間期と言われる1920~30年代のフランスでは、美術や、ファッション、宝飾、家具などの装飾に新しい美意識が生まれました。本展は、「アール・デコ」と呼ばれるこの時代の装飾スタイルにおける新しい時代感覚すなわち「モダン」の源の一つとして、「エキゾティック」な要素に着目したものです。

20世紀初め、ファッションに革命をおこしたポール・ポワレによる中近東やアジアを着想源とした衣服、1922年のツタンカーメン王墓の発見を機とするエジプトブームを反映したジュエリー、漆芸家の菅原精造に学んだジャン・デュナンの工芸品、あるいは東洋に倣った陶磁器など、アール・デコの作品では形、素材、技術の面において、非ヨーロッパ圏の芸術を応用した作例が見出されます。

この時代の異国は、夢見るものから自ら赴く場所へと変化していました。シトロエンによるアフリカ縦断・アジア横断クルージング、植民地での美術学校創設、留学奨励などにより現地に取材した芸術家たちが、ダイナミックな絵画、彫刻を生み出します。パリでは、アメリカの黒人歌手・ダンサーのジョセフィン・ベイカーの活躍や、1931年の「国際植民地博覧会」開催、珍しい動物がもたらされた動物園の人気など、エキゾティックで活力あるシーンが都市を賑わせました。