東京都写真美術館
TOPコレクション たのしむ、まなぶ イントゥ・ザ・ピクチャーズ
木村伊兵衛《大阪・中之島公園》1955年 ゼラチン・シルバー・プリント
コレクションは、東京都写真美術館の収蔵作品を紹介する展覧会です。今年のテーマは「たのしむ、まなぶ」。
「美術館」という場における学びは、学校や書物による学びとは異なる体験をもたらします。美術館の空間の空気感、壁に並ぶ作品のリズム感、実際の作品の大きさによる存在感などを全身で感じたりすることからの学びは美術館特有のものです。また、ただ作品を時代の資料として見て情報を得るというだけではなく、自分の興味にそって作品の中に写っているものをじっくり見ることで、それまで気づかなかった作品の別の一面に気づいたり、あるいは「わからないこと」を発見し、その「わからなさ」をたのしんだり、ということも美術館での「まなび」です。
本展は、同館の34,000点以上におよぶ膨大なコレクションの中から、古今・東西の優れた名品の数々を紹介しつつ、観客の皆様を美術館の豊かで多様な学びへと誘います。写真に詳しい方にも、そして同館を訪れるのは初めてという方にも新たな「たのしみ」と「まなび」がきっとあることでしょう。さあ、どうぞ一緒に写真の中へ!
内藤正敏 異界出現
《死者供養をする老婆、恐山》〈婆バクハツ!〉より 1969年
ゼラチン・シルバー・プリント 東京都写真美術館蔵
このたび東京都写真美術館は、「内藤正敏 異界出現」展を開催します。本展は異色の写真家・内藤正敏の50 年を超える軌跡をたどりご紹介します。作家は 1960 年代の初期作品において、化学反応で生まれる現象を接写して生命の起源や宇宙の生成の姿を捉えました。その後、山形県・湯殿山麓での即身仏との出会いをきっかけに、1960 年代後半から 80 年代にかけて、主に東北地方で民間信仰の現場に取材した〈婆バクハツ!〉〈遠野物語〉など刺激的な写真シリーズを次々と発表しました。「モノの本質を幻視できる呪具」である写真と、見えない世界を視るための「もう一つのカメラ」である民俗学を手段として、現世の向こう側に幻のように浮かび上がる「異界」を発見する人、内藤正敏。そのヴィジョンは、今日の私たちに大きな戦慄と深い洞察を与えてくれるはずです。本展は主な写真シリーズを通して、その 50 年を超える足跡をたどるとともに、その表現世界に通底する独自の世界観、生命観を捉えていきます。
『光画』と新興写真 モダニズムの日本
中山岩太 《・・・・》1932 年 中山岩太の会蔵
TOP Collection アジェのインスピレーション ひきつがれる精神
ウジェーヌ・アジェ《日食の間》 1912 年 ゼラチン・シルバー・プリント
写真の歴史に燦然と輝く、 ウジェーヌ・アジェの功績
本展覧会はフランスの写真家、ウジェーヌ・アジェ(1857-1927)が後世の写真表現にどのような影響を 与えたかについて考えます。当館所蔵の作品と写真集などの資料によって、アジェ自身の作品とアジェ以 降の写真家たちの際立った作品を中心に、その輪郭を浮び上がらせようとするものです。 ウジェーヌ・アジェは 19 世紀末から 20 世紀初頭にかけて、パリとその周辺を捉えた写真家です。1898 年、41 歳の時から 30 年間にわたって 8,000 枚以上の写真を撮影し、歴史的建造物や古い街並み、店先や 室内、看板、公園、路上で働く人々など、近代化が進み、消えゆく運命にあった「古きパリ」を体系的に 記録し、図書館や美術館、博物館などの公的機関や画家、建築家等のアーティストたちに販売しました。 その顧客にはレオナール・フジタもいます。
無垢と経験の写真 日本の新進作家 vol. 14
吉野英理香《Untitled》from〈NEROLI〉2013 年 発色現像方式印画 ©Erika Yoshino
Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography / Film
本展について
「日本の新進作家」展は、写真・映像の可能性に挑戦する創造的精神を支援し、将来性のある作家を発掘するため、新しい創造活動の展開の場として 2002 年より開催しています。14 回目となる「無垢と経験の写真」展では、日々の生活の中から純粋な個々人の経験を紡ぎ、多様なアプローチで削りだしている作家 5 名の写真表現を最新作と共にご紹介します。
生誕 100 年 ユージン・スミス写真展
楽園への歩み,ニューヨーク郊外,1946 年 © 2017 The Heirs of W. Eugene Smith
展覧会概要