高麗青磁

特別展「高麗青磁―ヒスイのきらめき」

ARTLOGUE 編集部2018/07/05(木) - 15:13 に投稿

本展では、東洋陶磁美術館が所蔵する高麗青磁を中心に国内所蔵の代表作も加えた約250件の作品により、高麗青磁の新たな魅力をご紹介します。

高麗青磁は高麗王朝(918-1392)の滅亡とともに姿を消し、人々にも忘れさられた、いわば「幻のやきもの」でした。高麗王朝の滅亡から約500年の時を経た19世紀末から20世紀初頭にかけて、高麗の王陵をはじめとする墳墓や遺跡などが掘り起こされ、高麗青磁は再び世に現れました。翡翠(ヒスイ)のきらめきにも似た美しい釉色(ゆうしょく)の高麗青磁は、瞬く間に当時の人々を魅了し、その再現品もつくられるなど、一躍脚光を浴びました。

高麗王朝では仏教が国教となりましたが、同時に道教も盛んでした。一方、中国から喫茶や飲酒文化が伝えられ王室や貴族、寺院で大いに流行します。こうして祈りの場や儀礼、喫茶具や飲酒具などに用いられるものとして高麗青磁が誕生し、独自の発展を遂げました。唐、五代の越窯青磁や北宋の汝窯青磁に類するとされる透明感ある艶やかな「翡色(ひしょく)」の釉色、そしてとりわけ精緻な象嵌技法を特徴とする高麗青磁の美しさは、中国においても高い評価を受け、「天下第一」とも称されました。こうした高麗青磁には人々の祈りや思いが込められ、高麗王朝の文化の精髄が見事に具現化されています。