マネックスグループが社会貢献活動並びに社員啓発活動の一環として実施しているアートプログラム「ART IN THE OFFICE」。
公募によりアーティストを1名(1組)選出、社内のプレスルーム(会議室)を応募作品の発表の場として約1年間提供するだけでなく、選出されたアーティストに50万円の賞金および10万円の制作費を授与するというもの。オフィスでの滞在制作が応募条件となるのが特色です。
2019年度の受賞アーティストとして選出された吉田桃子氏(※“吉”は、土の下に口)の作品「first "I.U" zone.2」が完成しました!
制作にあたり、マネックス社員との2日間のワークショップを行った吉田氏は、そのワークショップを通してあるテーマに基づく「顔」のイメージを作り上げました。
あるテーマとは一体!?作品や制作過程についての吉田氏のコメントをご紹介します。
今回の作品のメインになる中央の一枚は、2日間にわたる社員の方とのワークショップの中で生まれたものです。ワークショップ1日目は、「もう一人の自分」というテーマでそれぞれが「顔」を描くことから始まりました。そして、何故そのような顔になったのか、その人物の性格や環境など含め発表してもらい、参加して下さった方たちと共有しました。2日目は「マネックスのプレスルームに似合う顔」というテーマで、参加者全員で一つの顔を作り上げるというものでした。それぞれが持っている会社のイメージや自分と会社との関わり方には、共通の部分と相反する部分があり、それらを元に設定する「見た目のイメージ」を話し合いの中で選んだり、新たな要素を足しながら一つの「顔」という造形にまとめあげていく行為は、とてもクリエイティブなものでした。また、初対面でありながら、それぞれの少しだけ深い部分に触れることができた、刺激的な時間でもありました。
最終的に絵の中に現れた人物は、ジェンダーレスかつどこかアーティスティックな雰囲気もあり、これからの時代に問いを投げかけているようにも見えます。ワークショップ、そして5日間の滞在制作の間に生まれたものが私のもとを離れ、これからこの部屋に訪れる人たちの中で生まれる、新たなストーリーのきっかけのような存在となることを願っています。
プレスルームの壁に並んだ、横長の画面はデジタルディスプレイを模しており、巨大な顔のペインティングが並びます。
顔のアップが並んだ作品構成というと威圧感のある作品をイメージしますが、吉田氏の作品には独特の透明感があり、現実と仮想のあわいを漂う浮遊感すら感じます。
三枚並んだペインティングのうちメインとなる中央の一枚は「もう一人の自分」、「マネックスのプレスルームに似合う顔」を模索したワークショップから生まれています。透明感がありながらも静かにまっすぐな眼差しを向ける「顔」、「顔」、「顔」。
この部屋を訪れる人たちは、もの問いたげな瞳を前に、何を感じどんなストーリーを紡ぎ出すのでしょうか。
〈「ART IN THE OFFICE 2019」受賞アーティスト 吉田桃子氏 プロフィール〉
1989年兵庫県生まれ、2016年京都市立芸術大学院修士過程修了。音楽を聴いているときの高揚感や頭に浮かぶ映像的イメージを絵画の形式に閉じ込め、観る人にその高揚感を共有させる装置とする作品制作を行っている。アートアワードトーキョー丸の内2016 三菱地所賞受賞、2016年京都市立芸術大学大学院市長賞受賞。これまでの個展に、「scene UKH ver.3.1」ARTZONE / 京都(2017)、「scene UKH ver.3」三菱一号館美術館歴史資料室 / 東京(2017)、グループ展に「Kyoto Art for Tomorrow 2019-京都新鋭選抜展-」京都文化博物館(2019)、「京芸 transmit program 2018」京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA/京都(2018)などがある。
吉田桃子氏website:https://mt0991.wixsite.com/rainbowpicha/home
■「ART IN THE OFFICE 」プログラムとは?
2008年より、NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]の運営協力を得て 、マネックスグループが主催している、現代アートの分野で活動するアーティストを対象としたアワード。
2012年には、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「2012年度グッドデザイン賞」(Gマーク)を「展示会・見本市」のカテゴリーで受賞した「ART IN THE OFFICE」。過去の開催で審査員として参加したことをきっかけに、自社で公募プログラムやアートプロジェクトを発足した企業もあり、近年「ART IN THE OFFICE」の活動は広がりを見せています。
今後も「ART IN THE OFFICE」を通じて受賞アーティストの更なる活躍を応援すると共に、昨年 11月発表のブランドスローガン「For Creative Minds」に基づきマネックスグループの社員の啓蒙に取り組みます。
なお吉田氏の作品を含む今年度プログラムの詳細やこれまでの受賞作品については、マネックスグループウェブサイトからご確認いただけます。「ART IN THE OFFICE」についてもっと知りたい方は是非ご覧ください。