ARTLOGUE(一般社団法人 WORLD ART DIALOGUE)の会長でもある中川眞(大阪市立大学大学院文学研究科 教授)のオンライン無料講座「アートの力とマネジメント」の募集が始まりました。
大阪、岩手、奈良、香川、マレーシア、タイ、インドネシアなどの被災地、病院、貧困地域、スラム、過疎地といった社会的仮題を抱えている地域で行われているアート活動を事例に、社会包摂型アートのマネジメント手法を学びます。
皆さんは、アーツマネジメントが単にアートをファンに届けるだけではなく、未来の社会をつくっていく大切な作業であるということを知るでしょう。
アーツマネジメントはソーシャル・アクティビズムのひとつです。つまり、社会を変革する活動なのです。アートはどんな力をもっているのか? そのマネジメントのキモは何なのか? アートを通して現代社会の様々な側面を考えていきたいと思います。
中川眞
コンテンツの制作はARTLOGUEが担当しています。
「アートの力とマネジメント」
講座募集ページ:https://lms.gacco.org/courses/course-v1:gacco+ga078+2017_02/about
運営:株式会社ドコモgacco
講座内容
アートが新たに活躍できる場所について考えてみましょう。近年、美術館や劇場、コンサートホールといった従来の定位置ではなく、大きな困難や課題を抱えた人々に寄り添うかたちで、アートが社会の隙間に浸透していっています。本講座では、そういったアートの現場を訪ねながら、アートが社会や人々にどういう作用を果たし得るのか、同時に、アートそのものにどんな変化が起こっているのか、などということを考えてみたいと思います。
また、アートが浸透するためには環境を整える必要があります。規格外のアートですから工夫を凝らしたマネジメントが必要です。その方法論にも光をあて、少しでも皆さんに身近なものとして感じていただきたいと思っています。
第1週:アートの力
- 新たなアートの現場へ
- 障害のある人のアート:たんぽぽの家(奈良県)
- 大資本に抗う村:マンティン村(マレーシア)
- 病院のアート:四国こどもとおとなの医療センター(香川県)
第2週:アートによる復元力(レジリエンス)
- 貧困・孤独と向き合うアート:ココルーム(大阪府)
- コミュニティの再生:ナンロン地区(タイ)
- 大災害からの復興と芸能:普代村(岩手県)
- 過疎と向き合う芸能:十津川(奈良県)
第3週:アーツマネジメントについて
- アーツマネジメントとは何か?
- 新たなタイプのアーツマネジメント:社会的包摂
- なぜアートを用いるのか?:動機
- 適切な組織運営:準備
第4週:未来の社会と向き合う
- 人を動かす:実施
- なんのための評価?
- アーツマネジメントのエティカ
- アートによる新しい風景へ
講師紹介
中川 眞(なかがわ しん)
大阪市立大学大学院文学研究科 教授 国際センター所長、学長特別補佐。1951年 奈良県生まれ。京都大学文学部哲学科美学美術史学専攻卒業、大阪大学大学院芸術学専攻修士課程修了。大阪大学文学部助手、京都市立芸術大学音楽学部講師、助教授を経て、大阪市立大学文学研究科教授。2001年「音と環境の芸術学」で大阪芸術大学博士号(芸術文化)を取得。サウンドスケープの研究でサントリー学芸賞、京都音楽賞、小泉文夫音楽賞、インドネシアとの文化交流の功績でインドネシア共和国外務省功労賞、アーツマネジメントの実績で日本都市計画家協会賞特別賞《地域部門》、第3回ゆめづくりまちづくり賞「優秀賞」を代表受賞する。サウンドスケープ、アジアの民族音楽、サウンドアート、アーツマネジメントの研究を行いながら、ガムラン合奏団とピーパート合奏団を大阪にて創設し、国の内外にて演奏活動を行う。
【主な著書】
『音は風にのって』1997、平凡社
"Musik dan Kosmos: Sebuah Pengantar Etnomusikologi". 2000、Yayasan Obor Indonesia, Jakarta 【インドネシア語】
"Kyoto - Klaenge des Kosmos". 2000、Merve Verlag, Berlin 【ドイツ語】
『音のかなたへ』2001、日本放送出版協会
『サワサワ』2003、求龍堂
『平安京 音の宇宙 増補改訂版』2004、平凡社
『サウンドアートのトポス - アートマネジメントの記録から』2007、昭和堂
『アートの力』2013、和泉書院