琳派は、狩野派・土佐派のような家系や師弟関係を中心とした流派とは違い、作風に対する共感などにより、後の作家達に継承されました。
江戸時代初期の本阿弥光悦や俵屋宗達らにより始まり、元禄期を中心に、尾形光琳・ 乾山へと発展し、江戸後期の文化・文政期に光琳に傾倒した酒井抱一・鈴木其一がその芸術の再興を志しました。琳派の作品は、屏風や掛幅などの絵画をはじめ、硯箱や着物、扇、印籠、陶器など様々な工芸品に及び、絵画と工芸といった分野にとらわれることなく、斬新で多彩な意匠が創出されました。
本展では、本阿弥光悦書「花卉摺絵新古今集和歌巻」、尾形光琳筆「草紙洗小町図」、尾形乾山作「銹絵染付梅花散文蓋物」、酒井抱一筆「藤蓮楓図」など、琳派の代表作家における絵画と工芸の優品を展観することで、今なお私たちの生活のなかに生き続ける装飾芸術の粋、琳派の魅力をご紹介します。
みどころ
1. 光悦・宗達から抱一までの絵画と工芸を展観
琳派の作品に通底する、四季のうつろいや自然の美しさ、金銀はじめ鮮やかな色彩を駆使したかざりの美、絵画と工芸といった分野を越えた斬新な表現などに、多くの日本美術の特徴がみてとれます。本展では、重要文化財 伝本阿弥光悦作「樵夫蒔絵硯箱」、尾形光琳「山水・寿老人図団扇」など、所蔵の琳派作品の中でも生活を彩る多彩な作品を展示します。
2. 光悦・宗達の料紙装飾の美
光悦と宗達の代表作に、宗達が金銀泥で下絵を描き光悦が書を施した作品があります。料紙と書の息があった装飾性豊かな作品は琳派作品の源流の一つになっています。本展では、当館所蔵の本阿弥光悦筆、俵屋宗達の金銀泥下絵「鹿下絵新古今集和歌巻」の他、「芍薬摺絵古今和歌巻」をはじめとする版下絵の巻子・断巻や色紙など約10 点を一堂に展観致します。
3. 技法の継承―たらし込み
宗達は「たらし込み」という技法を創出しました。これは、塗った墨がまだ乾かないうちに、濃度の違う墨を加えることで生じる滲みなどを利用した技法です。墨の濃淡のむらは明暗や陰影を表出し、立体感や質感を生み
出しています。たらし込みは、光琳や抱一の作品中にもみられ、琳派独特の技法として継承されました。作家による用法や筆致の違いを見比べてください。
開催概要
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会 期:2018 年6月8日(金)~ 7月17日(火)
会 場:MOA 美術館 展示室1-3
時 間:9:30~16:30(入館は16:00迄)
休 館:木曜日
観覧料:一般1,600(1,300)円/ 高大生1,000(700)円・要学生証/ 中学生以下無料
*65 才以上1,400 円・要身分証明
*( )内は10 名以上の団体料金
*障がい者手帳をお持ちの方と付き添い者(1 名のみ)半額
関連イベント
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◆光琳屋敷ガイドツアー(茶室 一白庵の抹茶券付)
日 時:2018 年6月23日(土)、24日(日)
時 間:13:30~14:30
参加費:2,000 円(入館料は別途必要)
定 員:各回20 人(先着順・予約可)
申込先:光琳屋敷ガイドツアー係 0557-84-2531
集合場所:MOA 美術館 2F 受付
琳派─光悦と光琳 フォトギャラリー
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