中之島香雪美術館開館記念展
「珠玉の村山コレクション~愛し、守り、伝えた~」
公益財団法人香雪美術館は2018年3月21日、大阪・中之島の超高層ビル「中之島フェスティバルタワー・ウエスト」4階に、中之島香雪美術館を開館します。
香雪美術館は、朝日新聞社の創業者である村山龍平(1850~1933)の収集した日本と東アジアの古い時代の美術品を収蔵しています。開館4 5周年を記念し、神戸・御影の本館に次ぐ2 番目の美術館を大阪に開設して、コレクションのさらなる公開と普及を進めることとなりました。
開館から1年間は、開館記念展「珠玉の村山コレクション~愛し、守り、伝えた~」を開催。村山が収集した美術品から、重要文化財をはじめとする選りすぐりの作品300点余りを5期にわけてテーマ別に展示し、コレクションの全貌を紹介します。都心のビルにありながら「市中の山居」を目指した静謐で格調ある新しい美術館の空間で、珠玉のコレクションをお楽しみください。
また、神戸・御影の本館では、中之島香雪美術館開館を記念してコレクション展「刃金の美 刀剣・甲冑名品展」を3月1日から開催します。村山の美術品収集の出発点である刀剣コレクションに焦点を当てます。あわせてご覧ください。
Ⅰ 美術を愛して
香雪美術館の所蔵品の多くは、朝日新聞社の創業者・村山龍平(1850~1933)が収集した日本や東アジアの美術品です。国指定重要文化財19点、重要美術品23点をはじめ、時代や作家を代表する作品も数多く含まれます。1年間・5期にわたって開催する中之島香雪美術館開館記念展では、この村山コレクションの中から約300点を選りすぐり、これまでまとまった形では紹介されてこなかったコレクションの全容を初めて公開します。
第I期展「美術を愛して」では、村山龍平と特にゆかりの深い名品やエピソードが知られる作品を中心に約60点を紹介します。オープニングを飾る本展で、コレクションのエッセンスにふれるとともに、「美術を愛して」収集を進めた村山の想いを感じ取っていただければ幸いです。
みどころ
展覧会の冒頭を飾るのは、美濃「志野茶碗 銘 朝日影」(桃山時代、17世紀)。村山がこよなく愛した名碗で、『新千載和歌集』所載の歌から名付けました。
武家の出身である村山は、コレクションを刀剣類からスタートしました。重要文化財「太刀 銘 吉家作」(鎌倉時代、13世紀)は、古雅な作風で知られる名刀です。 多くの寺社文化財が流失の危機に瀕し、その保護を新聞で後押しした村山は、自らも多くの仏教美術を収集しました。優品ぞろいの仏教絵画の中から、いずれも重要文化財の「病草紙 小法師の幻覚をみる男」(平安~鎌倉時代、12世紀)、「二河白道図」(鎌倉時代、13~14世紀)などを展示します。
村山のコレクションは、書跡、中近世絵画、さらには茶の世界へと広がり、厚みを増していきました。重要文化財の藤原俊成「消息 左少弁殿宛」(鎌倉時代、文治2・1186年)、同じく重要文化財の(伝)周文「瀟湘八景図屏風」(室町時代、15世紀)、さらに曾我蕭白「鷹図」(江戸時代、明和4・1767年頃)など、重要な作例がコレクションに加わっています。茶席を飾ったとみられる重要文化財の梁楷「布袋図」(南宋時代、13世紀)は、「東山御物」の一品として知られています。