福岡道雄 つくらない彫刻家

ARTLOGUE 編集部2017/11/01(水) - 07:07 に投稿
福岡道雄《何もすることがない》1962-64 年 大阪新美術館建設準備室蔵

開催趣旨

 

ひとり、大阪の地で「反」芸術を貫いた彫刻家・福岡道雄。その全貌にせまる、美術館では初めての大規模個展を開催します。60 余年にわたる制作の軌跡を98 点の作品でふりかえる、回顧展形式の展覧会です。

福岡道雄は1936 年、大阪府の堺市生まれ。戦時中を中国北京、終戦後の少年時代を滋賀県で過ごした福岡は、19 歳のころ、大阪市立美術研究所への入所を機に、彫刻制作を本格化させました。地中で生まれる不定形な彫刻〈SAND〉や、地面を這い散らばる〈奇蹟の庭〉など、「彫刻らしさ」を疑ってかかるそれら最初期の作品群で、福岡は早くも世間の注目をあつめています。

その後、「反芸術」的な傾向を強くおびる1960 年代には、自らの生活感情を濃密に反映させた作品群〈何もすることがない〉や〈ピンクバルーン〉を発表。さらに1970 年代以後は時代の流れに背を向け、いわゆる〈風景彫刻〉や〈文字〉などを黙々と、かつ淡々と手がけることになります。

作品個別のかたちは違えども、福岡はこれまで、一貫して「つくる」のあるべき在り方を問い、彫刻に向き合ってきました。そんな福岡が制作活動に終止符をうったのは、2005年、〈腐ったきんたま〉と題された彫刻群を発表したときのこと。以後、「元・彫刻家」ならぬ「つくらない彫刻家」となった福岡は、いまなお、現在進行形で、制作と生活との接点を探り続けています。

福岡道雄の彫刻家としてのあゆみは、いくつものシリーズを着想しては放棄していく、試行錯誤の連続です。そこから浮かび上がってくるのは、くりかえされる逡巡、「つくる」と「つくれない」とのあいだを揺れ動く、真摯な葛藤にほかなりません。本展覧会は、福岡の彫刻をとおして、「制作」という根本概念についての問い直しをはかる、かっこうの機会となるでしょう。

 

本展のみどころ

● 大阪を代表する彫刻家・福岡道雄の、美術館では初となる大回顧展
● 展示室に浮かぶ、およそ50 個の風船彫刻〈ピンクバルーン〉
● 何百、何千、何万と、同じつぶやきを刻みつづけた〈文字〉連作が、一同に集結

 

<関連イベント>

■アーティスト・トーク

①「制作の継続、あるいは継続の制作」
11 月4 日(土)14:00~
聞き手:松井智惠(美術家)

②「福岡道雄の“反”彫刻」
12 月2 日(土)14:00~
聞き手:島敦彦(金沢21 世紀美術館 館長)

①②とも
会場:国立国際美術館 地下1 階講堂
※参加無料、先着130 名、当日、10:00 より整理券配布


■ギャラリー・トーク

11 月25 日(土)14:00~、12 月16 日(土)14:00~
会場:国立国際美術館 地下3 階展示室
講師:福元 崇志(国立国際美術館 研究員)
※参加無料(要観覧券)
※当日13:30 から聴講用ワイヤレス受信機を貸し出します。(先着90 名)

■みどころ解説

11 月11 日(土)18:00~、12 月8 日(金)18:00~
会場:国立国際美術館 地下1 階講堂
講師:福元 崇志(国立国際美術館 研究員)
※参加無料、先着130 名、当日、10:00 より整理券配布

 

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