岩根 愛 個展「ARMS」
岩根愛は、ハワイと福島という一見結びつきの見当たらない土地に「BON DANCE(ボンダンス)」を通じた深いつながりの歴史を見出し、12年という長い年月をかけた壮大なフィールドワークを、作品集『KIPUKA』に結実させました。同展では、ここから新たに派生した「新緑」をテーマにした未発表作品〈ARMS〉を展示します。
新緑の季節といえば、一般的に連想されるのは春と夏の間の「初夏」ですが、岩根が初めて強烈に新緑を体験したのは、冬の雨季のハワイでした。雨上がりに一面に広がる蛍光グリーンの輝きを一身に浴びた岩根は、やがて東京に戻ると、都市部の街路樹にも同じ色彩がみられることを見出します。新緑にまつわる体感をさらに探っていくと、ハワイの荒地に日系移民一世たちの墓石を発見したときの感覚にも結びつくことに気がつきました。「それらは、顔のない人が力強く腕をつき伸ばしてくるように、同じように私に向かってくるのだ」と回想します。