かつて造船業で栄えた大阪・北加賀屋は、時代の変化とともに工場の移転や高齢化による空き地・空き家が増加し、都市の空洞化が進んでいます。北加賀屋を拠点に不動産業を営む千島土地株式会社は、近代化産業遺産の名村造船所大阪工場跡地を中心に、保有する工場跡や空き家を創造的に活用することで「芸術・文化が集積する創造拠点」として地域再生を目指す「北加賀屋クリエイティブ・ビレッジ構想」に2009年より取り組んでいます。2011年に千島土地により設立された、おおさか創造千島財団は、本構想の一環として、2012年より鋼材加工工場・倉庫跡を大型アート作品の収蔵庫として活用するプロジェクトMASK [MEGA ART STORAGE KITAKAGAYA]を始動しました。
中村哲也展 NEW・BALANCE
入善町下山芸術の森発電所美術館では、平成29年度夏季企画展として、長野県在住の現代美術作家・中村哲也(1968年千葉県生まれ)の個展を開催いたします。
東京藝術大学院美術研究科で漆芸を学んだ中村は、表面性に着目し、昆虫の標本や亀の剥製、捨てられたトロフィーなど既存の物質を素材として使い、物質の持つ意味性と装飾性を増幅させた作品を発表。
1998年より「スピード」と「改造」という現代社会を象徴するテーマをとりあげたジェット機のような彫刻作品「レプリカシリーズ」を展開し様々なジャンルに発表の場を広げていきます。同時に形状の持つ固有のメッセージ性に着目し、強いものをより強く、速いものをより速くみせる為のペイントパターンそのものを彫刻として自立させ、抽象的でありながら強いイメージの純粋立体作品を発表しています。
造形から塗装まで全て手作業で行われているにもかかわらず、それを感じさせないほど精緻な仕上がりは「速さ」「強さ」といった抽象的概念そのものの表現となり、モノの持つ形と表面性、それに喚起される人間の感情との関係を提示しています。