丸木スマ展
丸木スマは、1875年に広島県伴村(現・広島市安佐南区)に生まれました。結婚後は飯室村(現・広島市安佐北区)で船宿業と農業に従事しながら、画家となった位里をはじめ4人の子どもを育て、働き詰めの毎日を送りました。その後、「年をとってなにもすることがなくなった」とこぼしていると位里・俊夫妻に絵を描くことを勧められ、1948年頃から絵筆をとるようになります。1951年には俊が出品していた女流画家協会展で初入選を果たしますが、その際、創立会員の三岸節子がスマの作品を高く評価したと言われています。
美術教育を受けることもなく「おばあちゃん画家」と呼ばれたスマの絵は、遠近法や透視図法などとは無縁で、身近な動物や魚、四季の花々等を題材に配色や構図に独自の工夫がなされています。晩年になって花開いた、色鮮やかで自由奔放な世界をお楽しみください。
本展は、今夏に一宮市三岸節子記念美術館で開催された展覧会の巡回ですが、吉川英治旧蔵の《カニの図》など一部展示作品が異なります。広島の丸木家で今春発見された《ピカドン》をはじめ、貴重な作品が数多く展示される機会となりますので、ぜひご覧下さい。