はじまりの美術館
ごあいさつ
新しい何かがはじまる!
タイの歴史を出発点とする作品で知られる現代美術家、アリン・ルンジャーン(Arin Rungjang)の日本初の個展を開催します。
ルンジャーンは1975 年バンコク生まれ、同市を拠点にアジアと欧米を中心に活動。2013 年のヴェネツィア・ビエンナーレにタイ代表作家として《Golden Teardrop》(2013)を出品。2015 年春には「PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015」参加作家として京都市美術館で《Golden Teardrop》と一部京都で撮影した新作《骨、本、光、蛍》(2015)を展示。2017 年はドクメンタ14(ギリシャ・アテネ/ドイツ・カッセル)への招聘を筆頭に、シンガポールやスイス・ジュネーブでの個展の開催、東京の大規模グループ展への出品など、世界の第一線で活躍しています。
キース・へリングが活躍していた1980年代のアメリカは、日本の好景気とは裏腹に、インフレの激化と経済の混乱とともに治安が悪化し、まさに混沌とした社会でした。しかし反面ではアンディ・ウォーホールを筆頭にアメリカ現代美術が勢いを増していた時代でもありました。こうしたアメリカの「光と影」を背景にキース・ヘリングのアートは生まれました。へリングはストリート・アートから独特なビジュアルコミュニケーションを確立し、混沌とする社会へメッセージを投げかけたのです。
生涯を通して世界中で子どもたちとのワークショップや、壁画を含むパブリック・アート、ポスター・アート、そして社会的なプロジェクトにも力を注ぎました。当館でもエイズ・ウォークをはじめとするHIV/AIDS予防啓発のイベント、国際絵画コンクール、災害募金など、へリングの遺志を継承する活動を行っています。
ワコウ・ワークス・オブ・アートではこの度2017年11月1日(水)から、ドイツのアーティスト、アンドレアス・スロミンスキーの個展を開催いたします。当画廊で4度目となる本個展は「GOOOD LUCK」展と題し、アジア初公開となる全11点の作品を展示いたします。スロミンスキーは1959年に西ドイツのメッペンに生まれ、ベルリンとハンブルクを拠点に1980年代から彫刻作品やパフォーマンスの制作を続けています。ドイツ、フランス、イタリアなど、ヨーロッパを中心にこれまで数多くの主要な現代美術館で個展が開催されてきました。
メキシコの美術は革命後の1920‐30年代に独自の展開を遂げて隆盛を極め、世界の注目を集めました。その歴史を語る上で欠かせない画家が、ディエゴ・リベラ(1886-1957)です。画才に恵まれたリベラは10歳の頃から美術学校に通い始め、1907年にヨーロッパに留学すると、キュビスムなどの最先端の画風を試み、ピカソとも交流しました。
1921年に帰国すると、メキシコの社会の動きに眼を向け、公共空間に絵画を描く「メキシコ壁画運動」に積極的に携わります。また、メキシコ固有の題材を採り入れた風俗画や肖像画においても、優れた作品を数多く残しました。
19世紀後半、日本の美術は西洋の人々を魅了し、"ジャポニスム"という現象が生まれました。なかでも注目された存在が、天才浮世絵師・葛飾北斎(1760-1849)。その影響は、印象派の画家をはじめとして欧米の全域にわたり、また絵画だけでなく彫刻や装飾工芸などあらゆる分野に及びました。北斎は、西洋美術の近代の扉を開ける原動力となったのです。
本展は、西洋近代芸術の展開を"北斎とジャポニスム"という観点から編み直す、世界初の展覧会です。国内外の美術館や個人コレクターが所蔵するモネ、ドガ、セザンヌ、ゴーガンをはじめ西洋芸術の名作約220点と、北斎の錦絵約40点、版本約70冊の計約110点(会期中展示替えあり)による"東西・夢の共演"で、北斎が西洋に与えた衝撃をご覧いただきます。
ロシア帝政時代の首都、サンクトペテルブルクにあるエルミタージュ美術館は、絵画作品約1 万7 千点を含むコレクション310 万点を誇る世界有数の美術館です。本展は、この膨大なコレクションの中でも特に充実している16 世紀ルネサンス、17・18 世紀バロック、ロココの時代に活躍した、「オールドマスター」の絵画85 点をご紹介します。「昔日の巨匠」を意味する「オールドマスター」とは、西洋美術の歴史において揺るぎない評価を得た作家たちのことです。西洋美術史に燦然と輝く巨匠たちの優品を堪能できる、またとない機会となります。