コレクション展「彫刻−ムーアとロッソを中心に」
「彫刻は野外の芸術である」と語ったヘンリー・ムーア。彫刻の概念や表現の幅を広げたメダルド・ロッソ。
20 世紀彫刻の要となる二人の作家を中心に、所蔵作品 23 点を紹介します。
■ヘンリー・ムーア コレクション
…ひとたび野外に出て陽を浴び、雨に打たれ、雲の移りゆきを感ずるときには、彫刻も生活の一部であるということがよくわかる…
これは、当館の国際公募展「ヘンリー・ムーア大賞展」創設時(1979年)にムーアから寄せられたメッセージです。このムーアの言葉は、そのまま当館の指針にもなってきました。
名和晃平:Element - Black
今年7月からルーヴル美術館ピラミッド内で特別展示が行われている(~2019.1.14迄)、高さ10m の黄金に輝く彫刻"Throne"の制作をはじめ、世界各地での大規模な個展の開催や展覧会への参加、禅寺でのアートパビリオンの設計とインスタレーションや、振付家ダミアン・ジャレとのプロジェクト"VESSEL"での舞台公演、ファッションブランドとのコラボレーションほか、様々なジャンルを横断し彫刻の概念を拡張し続ける作家、名和晃平。
2013年のギャラリーノマルでの開催以来、関西では5年振りとなる名和の個展を開催します。
丸木位里・俊 ―《原爆の図》をよむ
水墨による独自の表現を探究していた広島出身の丸木位里(1901-95)と、女子美術専門学校で油彩画を学んだ北海道出身の俊(赤松俊子・1912-2000)は、1941年に結婚します。ふたりは1945年8月に原爆投下後の広島を訪れたのち、自らの体験と家族などから聞いた話をもとに《原爆の図》初期三部作である《第1部 幽霊》、《第2部 火》、《第3部 水》を制作しました。これらは報道規制が敷かれた1950年代初頭に日本全国を巡回し、いち早く人々に被爆の惨状を伝えたことで反核反戦の象徴となっていきます。《原爆の図》は、作品が担った社会的役割の大きさだけでなく、洋画家の俊による繊細な人体描写と、日本画家の位里による大胆な水墨技法が融合した表現である点においても希有な作品といえるでしょう。 本展では《原爆の図》より、初期三部作に加え、《第4部 虹》、《第5部 少年少女》とともに、《原爆の図》の需要が高まる全国巡回展中につくられた初期三部作の「再制作版」を同時にご覧いただきます。丸木位里と俊、それぞれがこれらの作品の前後に単独で制作した作品もあわせて紹介し、ふたりの画業の連続性のなかで、《原爆の図》にみられる絵画的表現の試みを読み解きます。
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