
「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」は、2025年4月11日(金)から10月13日(月)まで開催される現代アートの国際フェスティバルです。大阪・関西万博の開催期間中、夢洲の万博会場をはじめ、安藤忠雄氏設計の大阪文化館・天保山、黒川紀章氏設計の大阪府立国際会議場(中之島)、西成・船場エリア、国立民族学博物館(万博記念公園)など、大阪を象徴する各地で展開されます。
2025年で4回目の開催となる本芸術祭は、大阪・関西万博と大阪一帯をつなぐ国際芸術祭として、国内外のアートプロジェクトを通じ、「アート×ヒト×社会の関係をStudyする芸術祭」として実施します。本年のテーマは、文化芸術・経済活性化、そして社会課題の顕在化を意味する「ソーシャルインパクト」。会場ごとに6つの章で構成される展示が行われます。
2月19日(水)、東京建物八重洲ビルにて開催された「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」の記者発表会では、総合プロデューサーの鈴木大輔をはじめ、作品のキュレーターや参加アーティストが登壇。各会場のコンセプトや展示の詳細について発表しました。
冒頭では、大阪関西国際芸術祭 実行委員会会長 兼 総合地球環境学研究所所長の山極壽一氏が開会の挨拶を行い、次のように語りました。
「AIにはできない想像力を培っていかなければならない時代です。大阪関西国際芸術祭では、得体の知れない、しかし未来を変えていけるような作品を展示したい。アカデミアと産業界がバックアップして、この芸術祭を盛り上げていきたいと思います。」
6つの章で構成される芸術祭の展示詳細
第1章:多様なる世界へのいざない
会場:2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)未来社会ショーケース事業 アート万博 パブリックアート内

万博のインパクトを最大限に活かし、「Study : 大阪関西国際芸術祭 2025」では、万博会場内に「Study : 大阪関西国際芸術祭 / EXPO PUBLIC ART」を展開します。来場者に文化の彩りと潤いを添えるとともに、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに世界各国の芸術作品を紹介します。
万博催事プロデューサー・小橋賢児氏は次のように意気込みを語りました。
「芸術を通して、来場者相互の対話と交流を図ります。新たな人流が生まれるので、ぜひ楽しみにしてください。」
第2章:人・命への考察
会場:安藤忠雄建築の大阪文化館・天保山(旧サントリー・ミュージアム)

第2章の本会場では、ドイツの研究機関と連携し、人間とは何かを問う「Reshaped Reality」展を開催。ハイパーリアリズムの人体彫刻にフォーカスした展覧会で、各国で高い評価を受けた本展が日本で初開催されます。
会場では、チーフ・キュレーターを務めるマキシミリアン・レッチェ氏からのビデオコメントが上映されました。
第3章:都市とアートの関係性
会場:大阪キタエリア
前回開催の本芸術祭.vol3では、万博大阪パビリオンディレクターの佐久間洋司氏キュレーションによる「拡張される音楽 Augmented Music」展を開催し、領域をこえて幅広い層に大きな反響がありました。2025年は、キュレーター・佐久間 洋司による「思弁的な音楽 / New Storytelling」展を開催します。
第4章:変容する街でのアートの可能性
会場:西成エリア

かつて高度経済成長期の肉体労働に従事するために集まってきた労働者たちが住まう場所だった釜ヶ崎(西成エリア)は、近年は高齢化や外国人の増加、あるいは不動産投資による地価上昇など、さまざまなソーシャルな事象に向き合っているエリアです。本芸術祭では、2022年の立ち上げ当初から、西成エリアにおけるアートの実践に注目してきました。
こえとことばとこころの部屋(ココルーム)・釜ヶ崎芸術大学、および「kioku手芸館 たんす」を拠点に展開するファッションブランド「NISHINARI YOSHIO」と引き続き連携。
本芸術祭では、さらに「山王ハモニカ長屋」を会場に加え、キュレーター・プロダクション・ゾミアによる「喫茶あたりや」 展を開催、新しい出会いと創造の場を生み出して参ります。
記者発表会では、「NISHINARI YOSHIO」を手がけるアーティスト・西尾美也氏と、プロダクション・ゾミアの薮本雄登氏が登壇し、それぞれの視点から本プロジェクトへの想いを語りました。
第5章:東西南北、文化の交差する街
会場:船場エリア

キュレーター・岸本光大氏による「Re: Human ─ 新しい人間の条件」展を開催。未来の人間の在り方を問い直し、テクノロジーと価値観の変化の中で、新しい「人間らしさ」の可能性を探ります。
また、パフォーミングアーティスト・遠山正道氏(株式会社スマイルズ代表 / 株式会社The Chain Museum代表取締役)も参加し、独自の表現を展開する。
記者発表会では、岸本光大氏と遠山正道氏が登壇し、芸術祭を通じて伝えたいメッセージについて語りました。
第6章:クリエイティブ・エコノミーと地球の未来
会場:黒川紀章建築の大阪国際会議場(グランキューブ大阪)

本会場では、日本・韓国の国交正常化60周年を記念し、韓国で2016年に誕生した 現代アートフェア「Plastic Art Seoul(通称、PLAS)」と株式会社アートローグが共同開催する国際アートフェア「Study × PLAS : Asia Art Fair」を開催します。
「Study × PLAS : Asia Arts Fair」は、日本・韓国の国交正常化60周年を記念すると共に、未来志向の日本・韓国及びアジア圏での文化芸術の関係性構築を目的に、2025年の大阪・関西万博に合わせて日本と韓国が合同で開催する、総合的なアート&クリエイティブ・フェアです。建築家・黒川紀章氏が設計した大阪府立国際会議場を舞台に、多彩なアート作品を観て体感し購入いただけます。本アートフェアは、韓国政府より助成を受けております。
※韓国の俳優でアーティストのハ・ジウォン氏も特別展にてアート作品を出展
記者発表会では、韓国から駆けつけたPLAS代表のシン・ジュンウォン氏、プロジェクトマネージャーのシン・ヘスン氏が登壇し、次のように語りました。
「PLASは、今年5月に10周年を迎えます。今回、アートフェアでの協力を通じて、日韓の芸術の距離がさらに深まることを願っております。皆様のご支援をよろしくお願いいたします。」

さらにスタートアップを対象としたビジネスコンテスト『StARTs UPs』やシンポジウム「Study Meeting」も実施。
『StARTs UPs』のプロデューサー・塩田悠人氏とLINEヤフー株式会社の宮本裕樹氏が登壇し、それぞれの視点からプロジェクトの意義について説明しました。
その他会場:国立民族学博物館(万博記念公園内)
国立民族学博物館(みんぱく)は、文化人類学・民族学とその関連分野の大学共同利用機関として1974年に創設され、1977年に大阪・千里の70年万博跡地に開館しました。建築設計は黒川紀章。2024年には創設50周年を迎え、岡本太郎の太陽の塔のある万博記念公園内の本会場は、1970年の大阪万博と2025年の本芸術祭、大阪・関西万博を時代をこえて接続する象徴的な場となります。
トークセッション:小橋賢児 × 鈴木大輔 「PLLトークス:アート & インパクト:イノベーターと共に考えるアフター万博の世界」

記者発表会に続いて、万博催事プロデューサーの小橋賢児氏と芸術祭プロデューサーの鈴木大輔による対談トークセッションが行われました。
俳優業を経てイベントプロデューサーへと転身した異色の経歴を持つ小橋氏。そのキャリアの変遷や、イベントが持つ「人生を変える力」について語られました。
俳優からイベントプロデューサーへ 〜人生を変えた旅〜
小橋氏は俳優を休業し、27歳のときに世界を旅したと語ります。その経験が、今のキャリアにつながる転機になったと振り返りました。
「プレッシャーに押しつぶされそうな日々が続いていました。悶々とした時間を過ごして。何年も自分自身に嘘をつきながら生きているような状態になり、怖くなったんです。そこで俳優を休業して、旅に出たんです。」
この話を受け、鈴木大輔が驚いた様子で「俳優というと華やかなイメージがありますが、順風満帆ではなかったのですね。」と返すと、小橋氏は深く頷きながら続けました。
「まさにそうです。世間的には華やかに見えるかもしれませんが、僕自身はずっと悩んでいました。自分の限界を感じる日々で、どう進むべきか分からずもがいていました。」
万博が生む「人生を変える出会い」
イベントが人の人生を変える可能性について、小橋氏は次のように語りました。
「ある出会いや気づきによって、人生が180度変わることがあります。2025年の万博も、そんな場になり得ると思います。」
万博会場だけでなく、そこから広がる気づきの重要性についても強調しました。
「2025年の万博で得た経験が、未来の人生の指針になるかもしれません。『あのとき出会ったものが今の自分につながっている』と振り返る日が来るかもしれません。」
小橋氏の言葉に、会場の参加者もうなずく場面が見られました。
この言葉を受けて、鈴木大輔も自身の考えを語ります。
「万博や芸術祭を通じて、一人ひとりが何かを感じ、未来につながるきっかけを持ち帰ってもらえたら嬉しいですね。アートが生み出す対話やつながりが、これからの社会にどう影響していくのか、楽しみにしています。」
対談は、未来への期待を込めた言葉で締めくくられました。
2025年の万博、そして「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」が、人々の人生にどのような影響を与えるのか——今後の展開にご期待ください。

「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」開催概要
■芸術祭全体会期:2025年4月11日(金)〜2025年10月13日(月)
名称:「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」https://osaka-kansai.art/
英語表記 Study: Osaka Kansai International Art Festival 2025
芸術祭展覧会
会期:2025年4月11日(金)〜2025年10月13日(月)
会場:大阪・関西万博会場内 / 大阪文化館・天保山(旧サントリーミュージアム)・ベイエリア / 中之島エリア(大阪府立国際会議場)、船場エリア / 西成エリア / 大阪キタエリア / 松原市ほか
※フルオープン(万博会場含む)は、2025年4月13日(日)に開幕します。
※本芸術祭のチケットでは、大阪・関西万博には入場できませんのでご注意ください。
日韓合同の国際アートフェア「Study × PLAS : Asia Art Fair」
プレビュー:2025年7月20日(日)※VIP、招待者、プレス関係者のみ
一般公開:2025年7月21日(月)〜23日(水)
会場:大阪府立国際会議場(グランキューブ大阪)
クリエイティブビジネスコンテスト「StARTs UPs(スターツアップス)」
会期:2025年7月23日(水)
会場:大阪府立国際会議場(グランキューブ大阪)
【主催】
大阪関西国際芸術祭実行委員会(株式会社アートローグ内)
https://osaka-kansai.art/pages/summary#organization
総合プロデューサー:鈴木大輔(株式会社アートローグ 代表取締役CEO)
【大阪関西国際芸術祭 実行委員会】
主 催:大阪関西国際芸術祭 実行委員会(株式会社アートローグ内)
会 長:山極壽一(総合地球環境学研究所所長)
副会長:鳥井信吾(サントリーホールディングス株式会社 代表取締役副会長
理事長:鈴木大輔(株式会社アートローグ代表取締役CEO)
常任理事:小川理子(パナソニック ホールディングス株式会社 参与)、辰野光彦(辰野株式会社 代表取締役社長)、田中邦裕(さくらインターネット株式会社 代表取締役社長)、堂目卓生(大阪大学 教授・総長補佐)中井貫二(千房株式会社 代表取締役社長)
理事:廣瀬茂夫(関西経済同友会 事務局長)、ウスビ・サコ(元京都精華大学学長)
顧問:宮部義幸(関西経済同友会 代表幹事)