ラグジュアリーブランド「ロエベ」が主催する「ロエベ ファンデーション クラフト プライズ 2019」の授賞式が、去る2019年6月25日(火)に、東京・赤坂にある草月会館のイサム・ノグチが手掛けた石庭「天国」にて開催され、京都をベースに活動する石塚源太氏が大賞に輝きました。
「ロエベ ファンデーション(ロエベ財団)」が2016年から毎年行っている「ロエベ ファンデーション クラフト プライズ」。その3回目となる今回は、100か国以上の国から2500人以上の応募がありました。新進気鋭のアーティストから各分野の著名人まで多岐にわたった中、ファイナリスト29名が選出されました。これまでで最も日本人の応募者が多かったそうで、選ばれたアーティストのうち、日本人が10名もノミネートされました。
ロエベ ファンデーション クラフト プライズは、卓越し、優れた技術を持ちあわせた、新鮮でモダンなクラフトマンシップを賞賛し、世に知らしめることを目的に、2016年にロエベファンデーションとロエベのクリエイティブ ディレクターであるジョナサン・アンダーソン氏が立ち上げました。「クラフトは十分なサポートを受けておらず、ロエベがクラフトに対して対話を生み出すようなプラットフォーム作りをしたい」とアンダーソン氏は述べています。
大賞に選ばれた石塚氏は、1982年京都生まれ。伝統的な漆塗り技術のエキスパートである石塚氏は、京都市立芸術大学、ならびにロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートで学びました。数々の国際的な賞を受賞しており、彼の作品はミネアポリス美術館(アメリカ)や、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(イギリス)、京都市美術館に収蔵されています。
今回の受賞作品《Surface Tactility #11》(2018)は、乾漆技法と天然漆を基本に、何層にも塗り重ねられた漆が、「深み」と「透明感」の両方を兼ね備えた艶やかな立体物。インスピレーション源は、スーパーマーケットにあったメッシュ袋に入ったオレンジだと言います。アンダーソン氏は「漆は古い歴史がありますが、この作品は時代を感じさせないタイムレスな作品です。どの時代にあっても不思議ではありません」とコメントしています。
石塚氏は今回大賞を獲得し、「ロエベ ファンデーション クラフト プライズはできた当初から知っていました。自分の活動として、参加することが重要だと感じていました。ファイナリストに選ばれただけでもホッとしていたのですが、大賞に選ばれてビックリしています」と述べています。 また、特別賞にはハリー・モーガン氏(イギリス)と高樋 一人氏(日本・名古屋)が選ばれています。
大賞および特別賞受賞者3名を含むファイナリスト29名の作品は、7月22日(月)まで、草月会館にて一般公開(入場無料)され、関連トークも開催されます。陶磁器から宝石、テキスタイル、家具、金属細工、そしてガラス細工まで、ジャンルを超えた作品で構成された展覧会は、世界のクラフトの現状だけでなく、世界中の文化の物語の広がりを証明するものでもあります。気になる方は、ぜひ会場に足を運んでみてくださいね!
■ロエベ ファンデーション クラフト プライズ
会 期:2019年6月26日(水)〜7月22日(月)
会 場:草月会館 (東京都港区赤坂7-2-21)
時 間:10:00~19:00
*金曜のみ20:00まで
料 金:無料
*毎週土曜14:00~は、川上典李子(ジャーナリスト/21_21 DESIGN SIGHT アソシエイトディレクター)をモデレーターに迎え、スペシャルゲストを招いたトークセッションを開催中。