「東京にある、長浜の観音堂」をコンセプトに、約2か月交代で滋賀県長浜市から観音像にお出ましいただき、そのお姿を通して長浜の暮らしとそこに住む人々の営みを紹介。
《「日吉山王二十一社本地仏」のうち 十一面観音坐像 高月町井口日吉神社 円満寺阿弥陀堂》
木造 鎌倉時代 長浜市指定文化財
井口日吉神社の神宮寺にあたる古刹円満寺は、現在同社境内に阿弥陀堂を残すのみで、地域の人々の手によって護持されている。
円満寺には、19躯の小群像が伝えられている。中世、神仏習合期の遺品で、「日吉山王二十一社」の本地仏と垂迹神を表わす。かつては21躯揃っていたと考えられるが、現在は十九躯のみ残る。各々台座と像背面に社名と神名とが記されている。
今回出陳の「客人宮(伊弉冉尊)」の本地・十一面観音像が、大宮・二宮を差し置いて、ひときわ大きく造られていることに注目される。白山から勧請された「客人宮」は、上七社の中で第5位の位置付けの神である。
造像の背景には、天台宗の荘園として日吉山王信仰を基調にしながらも、当地独自の信仰(己高山仏教・十一面観音信仰)が色濃く反映して造像されたことも推測できる。全国に彫像としての「日吉山王二十一社」の遺例は極めて少なく、これをほぼ揃えたこの群像は学術上貴重で、また湖北地方の中世史を考える上で貴重な資料といえよう。
【毎週金曜日はスペシャルライティングを実施】
毎週金曜日・17:00~17:30
館内の照明を消灯し、観音堂を模した展示スペースのみの照明で観音さまをご覧いただく時間を設けています。普段は終日上映している映像もこの時間帯は一時休止いたしますので、静かで落ち着いた環境でゆっくりと観音さまと向き合うことができます。
※この時間帯は館内が暗くなるため、資料などをご覧いただくことができません。あらかじめご了承ください。
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