輪島市名誉市民・三谷吾一氏は2002年に日本芸術院会員に就任、2015年10月文化功労者として顕彰され、長らく斯界の先達者として輪島塗を支え続けましたが、2017年7月、惜しまれつつ永眠されました。
少年時代に画家を夢見た三谷氏は、作家としての将来を決意し沈金の道に進みました。22歳で独立したのちは独自の表現を飽くことなく追求し、ついにエルジー粉やパール粉を用い、多彩な技法を駆使した幻想的かつ色彩豊かな世界を切り拓きます。その作風が評価され、輪島を代表する作家として足取りを確かなものにしてもなお、作品世界は年を追うごとに若々しく、明るく自由な彩りに満ちあふれたものへと変化を重ねました。
本展覧会では、日本芸術院会員就任後の作品も交え、作品一筋に生き抜いた三谷氏の足跡を振り返ります。作品から流れるやわらかな旋律に耳を傾けていただければ幸いです。
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