千利休の師であった武野紹鴎は「見渡せば花も紅葉もなかりけり浦のとまやの秋の夕暮」という藤原定家の和歌をもって茶道の理念とし、利休は「春をのみ待つらん人に山里の雪間の草の春を見せばや」と藤原家隆の和歌で侘び茶の心髄を示したといわれます。茶の湯の心得を古歌に託すことで、静寂な余情の中に奥深い趣を感じます。
時代が江戸に移り小堀遠州が茶の湯の指導者的役割を果たすようになると、「綺麗さび」といわれる美意識が茶の湯に求められ、その一例として茶入や茶碗などの銘を和歌から採用するという「歌銘」が好まれ、茶の湯と文芸がより密接になりました。
今回の茶道具展では、細川幽斎、烏丸光広などによる懐紙や短冊などの掛物を中心に構成し、「春夏秋冬」や、「祝賀」「神祇」、「歌枕(歌に詠み込まれる名所)」に区分しました。さらに歌銘のある茶入や茶碗、さらに和歌に詠み込まれた季の詞(ことば)にちなんだ銘や文様のある茶道具を取り合わせました。
短冊などにしたためられた流麗な書体とともに、和歌文学と茶の湯に共通する風流な世界をご覧いただきたいと思います。
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上位美術館・ギャラリー
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