クライム・エブリ・マウンテンvol.2 「漆がつなぐ、アジアの山々」 うるしがうるおす、山地の暮らし

ARTLOGUE 編集部2018/08/28(火) - 02:30 に投稿

しっとりとした光沢をもち、手に口に、優しくなじむ漆の椀。

日本をはじめとしたアジアの山地では古くから、漆を掻き、塗り、日々の生活の中に活かしてきました。

ウルシ科の樹木は世界中に800種近くありますが、その中でいわゆる〈漆〉として樹液が使用できるのはほんの数種しかありません。

その数種すべてが、日本から韓国・中国・ベトナム・タイ・ミャンマー・ラオス・ブータンにかけて続く照葉樹林帯の山間部に生育しています。

ウルシの木に傷を付けると粘りのある樹液を流し、やがて黒く固まって傷を修復しようとします。

まるで人間でいう血液のような自然治癒のちからを、この地域の人々は天然の防水剤、接着剤として活用してきました。

食器や家具、住居、装身具など日常のものから、儀礼の道具や宗教建築にも使われます。

漆と人の歴史は、実に1万年以上前にさかのぼるといわれています。

世界各地の民族の装いや道具、所作を撮影・研究してきた井上耕一氏は、1980年代よりそうした〈漆文化圏〉とでもいうべき地帯に通い、写真におさめ、また漆器も収集してきました。

黒地に赤と黄の色漆を施す中国・涼山彝(イ)族の酒器、チベットやブータンのバター茶を入れる漆碗、黒く光るミャンマーの托鉢用漆器や漆塗りの絵解き経典…。

井上氏所蔵のバリエーション豊かな漆製品約100点を現地の写真や映像も交えて展示し、漆とともに生きる人々の暮らしを紹介します。

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クライム・エブリ・マウンテンvol.2 「漆がつなぐ、アジアの山々」 うるしがうるおす、山地の暮らし

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