ごあいさつ
公益財団法人 諸橋近代美術館
館長 諸橋 英二
公益財団法人諸橋近代美術館は、ゼビオ株式会社(本社:福島県郡山市 東証一部上場 スポーツ用品小売業)の創立者 諸橋廷蔵(もろはしていぞう)(1934~2003)が約10年に亘り収集した美術作品と美術館用地、建物等を「広く多くの方に西洋近代美術の秀作の数々を鑑賞し、感動していただきたい」という意思のもと同財団法人に寄付し、1999年に故郷である福島県の景勝地、会津磐梯高原に開館しました。
諸橋は青年期よりシュルレアリスムの作品に興味を持ち、とりわけスペインが生んだ巨匠サルバドール・ダリの緻密絵画に強い憧れと魅力を感じていました。ダリをはじめ西洋近代美術の調査、研究に熱心に取り組みながら、諸橋は自らの手で蒐集を進めました。それら蒐集した作品群は、ダリの絵画、彫刻、版画作品など約330点、印象派からシュルレアリスム期までの絵画作品約40点、英国現代作家パメーラ・クルックの絵画約23点となり、個性輝く当館コレクションの礎となりました。ダリのコレクションにおいては、ダリ美術館(米国フロリダ州)、ダリ劇場美術館(スペイン・フィゲラス)、に次ぐ規模であり、アジアで唯一のダリ常設美術館です。作品の蒐集活動は、諸橋の遺志を受け継ぎながら現在も継続して行っています。
磐梯朝日国立公園内の5.5万㎡以上の敷地内に約2000㎡の面積で建てられている美術館は創設者の希望である“中世の馬小屋"というイメージのもと厩舎を連想させる建物です。
内装は玄晶石を用いて自然の風合が漂う造りとなっており、館内は外光を多く取り入れた天井高9mの展示ホールが縦に約100メートル伸び、ダリの彫刻展示に相応しい開放的な空間となっています。美術館の窓からは壮大な磐梯山の噴火口や四季折々美しい自然を織りなす庭園が望むことができ、美と自然の競演を堪能できる空間となっています。
美術は私たちに、優しさや愛しさ、勇気や希望といった言葉にならない力を与えてくれます。自然豊かな環境で個性豊かな作品の数々との出会いは、きっと素敵な記憶として皆様の心に残ることでしょう。諸橋近代美術館は、‘美術をとおして潤いのある生活を提案し、社会貢献をすること'という理念のもと、これからも職員一同、心のこもった美術館づくりに努めて参ります。