伊藤誠

大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2018

ARTLOGUE 編集部2018/07/09(月) - 16:30 に投稿

地球環境時代の美術、大地の芸術祭

大地の芸術祭では、ここに暮らす人々が自然の中で生きていくために培ってきた創意工夫、技術、労苦の結晶である棚田や瀬替え、土木工事こそが人間と自然の関係を表していると考え、その礎の元にアート作品を配置・展開してきました。その軌跡をたどりながら2018年の芸術祭を堪能する、ランチ&ガイド付き日帰りツアーの決定版「オフィシャルツアー(2コース)」は、大地の芸術祭が考える、人間が自然・文明と関わる術を追体験する旅。里山とアートを巡る旅は、まさに地球環境時代の美術の起点となります。

 

「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」とは

「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」は、過疎高齢化の進む日本有数の豪雪地・越後妻有(新潟県十日町市、津南町)を舞台に、2000年から3年に1度開催されている世界最大級の国際芸術祭です。農業を通して大地とかかわってきた「里山」の暮らしが今も豊かに残っている地域で、「人間は自然に内包される」を基本理念としたアートを道しるべに里山を巡る新しい旅は、アートによる地域づくりの先進事例として、国内外から注目を集めています。前回2015年は約51万人の来場者数を記録し、約51億の経済効果や雇用・交流人口の拡大をもたらしています。

 

リトグラフ 石のまわりで

ARTLOGUE 編集部2018/05/22(火) - 06:07 に投稿
ラウル・デュフィ《電気の精》より 1953年

 

リトグラフは版面を彫ることなく描画を転写します。18世紀末リトグラフの発明によりそれまでの凹版や凸版に新しい版種、平版が加わりました。石版石を素材とするこの新しい印刷方法は、19世紀から20世紀にかけて瞬く間に普及し、その間に重量があり持ち運びが難しい石版の弱点を解消するジンク板やアルミニウム板が開発されました。描画の際の技術的な制約が少ないことから、様々なジャンルの作家がリトグラフに関心を持ち、優れた作品を残しています。

表現者の探究心と技術の進歩はより繊細で微妙な表現を可能にし、現代においてもリトグラフの人気は衰えることはありません。リトグラフの始まりである石版石の「石」の魅力も常に表現者の心をとらえ、現代の版芸術においても「石」による創造の世界は様々な広がりを見せています。

本展では印刷技術史における近代印刷術としてのリトグラフと多様な表現を生み出す美術表現としてのリトグラフを紹介します。石版印刷術の好事例や現代作家の優れた石版刷作品をお楽しみください。発明から200年以上を経たリトグラフの創り出す美しさとその魅力をあらためてお伝えしたいと思います。