阿部展也

阿部展也―あくなき越境者

ARTLOGUE 編集部2018/03/01(木) - 19:03 に投稿

阿部展也とは何者か…戦中戦後、世界を舞台に

多彩な才能を発揮した作家の全貌を紹介

 

新潟県出身の作家、阿部展也(あべ・のぶや1913-1971)は、瀧口修造との詩画集『妖精の距離』(1937)により若くして一躍注目を集めました。また、雑誌にて作品と評論を旺盛に発表し、戦前の前衛写真の運動にも重要な役割を果たします。1941 年からは日本軍報道部に所属し、出征先のフィリピンにてポスターや写真を手掛けるとともに多くのスケッチも残しました。

戦後は、シュルレアリスムからアンフォルメル、幾何学的抽象へと目まぐるしく画風の変転を遂げ、サンパウロ・ビエンナーレをはじめ数々の国際展への出品、持ち前の語学力を活かし国際会議に参加するなど日本国内にとどまらない活躍を果たし、晩年の10 年近くをイタリアに過ごします。また、作品制作のかたわら海外の美術動向の紹介にもつとめ、その幅広い活動によって日本の美術界に影響を与え続けました。

本展では、初期から晩年にかけての主要作品に加えて関連雑誌や写真、下絵といった資料類、さらには彼が日本に紹介した海外作家を含む阿部に縁のあった作家の作品をとおして、国や地域のみならずジャンルや分野を横断し続けた越境者の足跡を多角的に紹介します。