1970年、アジアで初めて開催された日本万国博覧会(大阪万博)は、今年50周年を迎えます。77カの国と地域が参加し、国内外から6400万人を超える来場者が訪れ、世界中の人々が交歓する広場となった会場は、その後、太陽の塔などのレガシーを残しつつ、緑に包まれた記念公園として整備され多くの人に愛されています。
そんな大阪万博を記念した展覧会「大阪万博50周年記念展覧会 Expo 70ʼ 50th Anniversary Exhibition」が、2月15日(土)から24日(月)まで、T-ART HALLや天王洲オーシャンスクエア、寺田倉庫といった天王洲エリア一帯と渋谷パルコにて開催中です。
開催から50年を経た今、本展覧会では当時の記憶を紐解くように岡本太郎らの当時の貴重な作品や資料を始め、大阪万博に影響を受けたアーティストたちによる新たな作品を展示し、レガシーの再現とともに、継承(バージョンアップ)を試みます。また、今回万博記念機構が徹底的にアーカイブしてきた資料を5000点以上展示。特に音の資料に関しては、これまで例がないほどの貴重な展示を鑑賞することができます。
例えば、T-ART HALLでは、岡本太郎がプロデュースしたテーマ館の地下に若手研究者らが47カの国と地域から収集した仮面とともに展示されていた岡本太郎の《マスク》を展示。また、助手や通訳などサポートをしてくれた人たちへ感謝の気持ちを込めて日本人の名前がつけられたフランソワ・バシェの《勝原フォーン》(修復)も鑑賞可能です。万博終了後、長い間倉庫に眠っていたままのフォーンでしたが、2017年東京藝術大学バシェ音響彫刻修復プロジェクトとマルティ・ルイツにより修復されました。
ボンドストリート、ボードウォーク、T-PASSAGEでは、大阪万博で初来日したバシェによって制作された《音響彫刻》と呼ばれる作品をモチーフに、作曲、パフォーマンス、演奏、録音の手法を使って、蓮沼執太が音楽を作り上げます。その音楽は天王洲のリバーサイドにインストールされ、街に響き渡ります。当時の万博の記憶、現在の天王洲の記憶をバシェによる《音響彫刻》を使って交差させる試みです。
その他、天王洲オーシャンスクエアでは西野達のバスをカットした巨大な作品が登場したり、TERRATORIAでは宇川直宏の観客の全身をマッサージする体験型作品が展示されており、必見です。
また、武満徹を中心に、黛敏郎や一柳慧などの音楽家達の他にも世界中から音楽会のスターが勢揃いした万博の半年間の全貌が今回初めて明らかにされます。2回のDOMMUNEの開催を通じて、衝撃の音資料を公開します。
音楽評論/音楽プロデューサーの西耕一曰く、
「万博の音資料を発見!重要資料の数々に大興奮!これは現代音楽のタイムカプセルだ!」日本の現代音楽界にとって最高の調達点と言える大阪万博。黛敏郎、伊福部昭、武満徹、一柳慧、小杉武久、松平頼暁、松下眞一、團伊玖磨など多士済々、錚々たる作曲家が音楽を担当した。その音資料が、大阪府に残されていたのだ。特に、お祭り広場で行われた毎日のイベントがすごい。「黛敏郎・音と光のファンタジア」「磯崎新設計のロボット・デメのコメント」「具体美術祭り・ミラー人間と光の広場」「グランドバレエ・進歩と調和」など、タイトルだけでも芸術的感覚が刺激される。「動く歩道を使う場合の注意喚起のアナウンス」という珍品もあったが、実は当時を知る人には懐かしい音資料だろう。意図せずタイムカプセル化して、50周年に再発見される音の資料。今回、その宝箱の蓋が開くのだ。頭がくらくらするような、戦後現代音楽における重大資料発見に大興奮である。
とのこと。
ぜひ会場に足を運んで、岡本太郎らの当時の貴重な作品はもとより、大阪万博に影響を受けた現代美術家・クリエーターらの作品を鑑賞してみてください。大阪万博を体験した方にはとても懐かしく、未体験の方には新鮮に感じられる内容になっており、一見の価値ありです。
■大阪万博50周年記念展覧会 Expo 70ʼ 50th Anniversary Exhibition
会 期:2020年2月15日(土)〜2月24日(月)
会 場:T-ART HALL TERRATORIA、T-PASSAGE、T-LOTUS M、ボンドストリート、天王洲オーシャンスクエア、寺田倉庫など天王洲エリア一帯、渋谷パルコ
時 間:平日13:00~19:00、土日祝11:00~20:00
休 館:2月17日(月)
料 金:無料