住所
宮城県 仙台市 若林区土樋288-2
エリア
共生福祉会福島美術館は、一般市民はもとより、福祉施設を担い共に行動する人々にこそ大いに活用してもらいたいという理念の下、こころの豊かさや美しいものへの感動を共有できる美術館をめざして、昭和55年に開館しました。開館時には残念ながら福島禎蔵翁は逝去されて、完成した美術館を目の当たりにすることはありませんでした。しかしながら翁の信念を熟知する佐藤先生と当時のスタッフが遺志を確実に受け継いだのです。福祉団体が運営する美術館は、全国でも少ない貴重な存在ですし、その性格に応じた工夫も佐藤先生を中心にしたスタッフの努力で、展示や解説に活かされることになりました。決して広くはなく贅沢ではないものの、親切で心温かい美術館がここに歩み出したのです。福島美術館に安住の場所を得た福島コレクションの構成内容は、近世・近代の絵画と書跡、工芸、彫刻、歴史史料と、多岐にわたります。コレクションの場合は、その質の良し悪しが問題になるのですが、62万石大名の伊達家の遺品を核にして3代に渡る福島家の審美眼を経た福島美術館のコレクションは、どこにもひけを取らないものと云えるでしょう。佐藤明先生がしばらくの間顧問となられて職員を指導された結果は、調査や保存についての分野でも、専門性を充分に発揮する活動となっています。美術館の専門職員は学芸員とよばれ、資格認定者が従事しますが、当館では佐藤先生の教え子でもある尾暮学芸員を軸に、数年前までは東北大学の美術史研究室から大学院生が嘱託として加わり、質の高く内容豊富な活動を実践してきました。現在では尾暮学芸員が一人でがんばる状況ですが、ここに来るまで積み重ねられた成果は、優れた基盤になっています。東北大学の美術史といえば、美術館設立の過程で、当時教授でおられた日本美術史の第一人者であられる辻惟雄先生にも、コレクションの調査と評価をお願いして力添えをいただいています。このような経緯で先生の研究室から大学院生が学芸員として参加してくれたのですが、これらの人々は今では国立博物館や著名な公私立博物館の学芸員・研究者となって重責を担っています。ある意味では福島美術館で基礎作りをして大きくはばいたことになり、人的なネットワーク作りにも寄与しているのです。これらの人たちの紹介で、福島美術館とコレクションの存在は、全国規模で認知されていきました。豊富な内容を活用して毎年開催されているのが、企画展です。各時代各ジャンルの美術テーマ、伊達家と仙台藩にちなむ文化の動向などから選び出して独自の展覧会をさせてきましたが、館の性格に良くマッチした企画は、多くの来館者から親しみを持って迎えられ、仙台・東北における当館の位置を確かなものにしました。大規模ではなく、また費用も乏しい中で、熱意と誠意をよりどころに進んだこれまででしたが、来館者や福祉関係者と同じ目線であろうとした意図は、広く深く浸透したものと考えています。
郵便番号
984-0065
アクセス数
10
1
11
緯度
38.24542258
経度
140.88406617