2018年は明治改元から150年にあたります。維新以後、「文明開化」政策に沿って、西欧の近代文化の移入を急いだ日本。そのために、市民の暮らしも外国からの文化が押し寄せ、習慣や価値観は様変わりしました。我が国の伝統文化と西欧の近代文化との相克が展開され、新しい芸術文化が創生されることとなりました。
周知のように、「脱亜入欧」のスローガンのもと、生活文化の西欧化が進められた明治。大正デモクラシーという言葉が表すように、吉野作造が提唱した民本主義や一連の自由主義、社会主義の萌芽がみられた大正。中国の書経にある「百姓昭明 協和万邦」から命名され、戦争の世紀ともいわれた昭和。IT革命によりAI時代が到来した平成。そして次に、新しい時代が訪れようとしています。
このような社会を渦巻く時代の流れは、美術界においても大きな影響を及ぼしています。本展では明治期を〈近代美術の萌芽と成立〉、大正を〈近代美術の展開〉、昭和を〈現代美術の展開〉、平成を〈現代美術の多様化〉と区分し、当館コレクションを中心に各時代の作品を紹介することで、美術の時代変遷を検証してみようとする試みです。また、明治期に庶民の視覚メディアとして大阪に登場した、錦絵新聞や滑稽新聞、大阪パックなど、大衆ジャーナリズムの先駆けをご覧いただき、時代を映す風俗なども振り返ってみたいと考えます。
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