PAUL SMITH デザインという編集 —“ひねりの効いたクラシック” そのルーツはどこにあるのか
北原一輝
が 2016/08/07(日) - 23:49
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「PAUL SMITH」と私の出会いは10年以上も昔の話になります。
私の育った長野県松本市は、全国のどこにでもあるような地方都市の一つです。城下町や民芸で少しは名の通った街ですが、市街地を離れるとファスト風土化とも言える、画一化されたロードサイド風景が広がります。服を買うならイオンやしまむら、またはユニクロのような量販店が当たり前でした。当時はインターネットで洋服を買うことも一般的ではなく、洋服を買う環境は限られていました。しかし、そんな街にも「PAUL SMITH」の店舗はありました。
当時は洋服のことを何も知らない私でしたが、「PAUL SMITH」の名前くらいは聞いたことがありました。カラフルなストライプ柄のシャツに憧れ、初めて買いに行った時の緊張と、袖を通した時のワクワクは一生忘れないでしょう。
「PAUL SMITH」の服は「ひねりの効いたクラシック」と評されます。フォーマルにも、カジュアルに合わせることも出来る彼の服に、まさにぴったりな表現であると今になって思います。
今回、「ポール・スミス展 HELLO, MY NAME IS PAUL SMITH」を観に行くにあたり、久々に当時の記憶を思い返してしまいました。
それでは、展示の内容をご紹介させていただきます。
ポップでキャッチーな展覧会
デザインした車の前でポーズを取るポール・スミス 本人。(京都会場)「PAUL SMITH 」の洋服の一番の特徴は、ポップさと見た目の分かりやすさにあると思います。今回の展覧会はまさにその世界観が溢れているように感じられました。
洋服のことを知らない人が見ても「PAUL SMITH」の洋服に心が踊るように、洋服や、アートの知識が無くても「PAUL SMITH」というブランドの面白さが伝わる内容となっています。
誰もが楽しめるが「PAUL SMITH」の洋服の特徴だと思います。
シャツ、ジャケット、パンツというようにアイテムを大きくひねったものは少ないですが、色や柄、素材で他にはない洋服を生み出しています。高い編集力から生まれる「ひねりの効いたクラシック」は洋服に抵抗がある、おしゃれをしたいけど、どんな洋服を着たらいいのか分からない、という方にもおすすめしたい洋服です。洋服への興味を持つ最初の1歩になるブランドとして、これからも世界中の方に愛されるのではないでしょうか。
今回の展示を見るにあたり、10年前の思い出が蘇ったのは私自身がそんな思いをしていたからだと思います。
皆様も、ポップでキャッチーで遊び心ある展示を見ながら、彼のクリエイションに思いを馳せて、想像しながら見に行ってはいかがでしょうか。
その際はぜひ、いつもよりおしゃれをして行くとより一層楽しめると思いますよ。特に色が鮮やかなので、明るい色の洋服を合わせるとより一層会場にもとけ込めると思います。
「ポール・スミス展 HELLO, MY NAME IS PAUL SMITH」 フォトスライド