中国の詩人・李白を「詩仙」、杜甫を「詩聖」と称したのにちなみ、わが国では奈良・平安時代の和歌にすぐれた人を「歌聖」「歌仙」と呼びました。平安時代前期の歌人・紀貫之は、『古今集』仮名序において柿本人麿を「うたのひじり」(歌聖)とあがめ、在原業平や小野小町ら「六歌仙」を選びました。ついで、高名な三十六人の歌人の秀歌を厳選した、藤原公任の撰になる『三十六人撰』が登場します。この歌集は秀歌の規範として貴族たちに重んじられ、選ばれた歌人たちは「三十六歌仙」として尊崇されました。
のち、これら歌人の画像にその代表歌一首を書き添えた歌仙絵が生まれます。歌仙信仰にともない、歌仙像は名だたる絵師に、歌は能書の公卿に書写を依頼して制作されました。こうして歌仙絵は、美術と文学が結合した文化遺産として現代に伝わっています。このたびの展示は、それぞれの時代に作られたさまざまな歌仙の姿を一望しようと試みるものです。
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