永遠の少年、ラルティーグ─写真は魔法だ─!

ARTLOGUE 編集部2018/05/19(土) - 12:08 に投稿
フロレット ヴァンス 1954年
Photographie Jacques Henri Lartigue © Ministère de la Culture-France/AAJHL

 

フランスの裕福な家庭に生まれ育ったジャック=アンリ・ラルティーグ(1894-1986)が、写真好きの父親から三脚付きの暗箱カメラを与えられたのは7歳のときでした。

身の回りのさまざまな瞬間を残せる「カメラ」は、ラルティーグ少年にとってはまさに“魔法の機械”だったのです。少年ラルティーグはこの機械で、多くの作品を生み出しました。

本展では彼の幼年時代から晩年までの代表的な作品や、日本初公開となるカラー作品を通して、写真をたのしみ、過ぎゆく時間や人生の歓びをとらえようとしたラルティーグの世界を紹介していきます。


ジャック=アンリ・ラルティーグを知っていますか? 

アンリ・カルティエ=ブレッソンと並ぶ、フランスが生んだ偉大な写真家として名声を得ているラルティーグ。彼は自らをアマチュア写真家と称し、60年以上にわたり自分のたのしみのために写真を撮り続けました。 彼の眼差しは、家族をはじめとした身の回りのものに向けられています。一方、その少年期から青年期は「ベルエポック(1900~1920)」という芸術文化が一気に開花した時代だったことから、最新のファッションや機械文明の急速な発展といった時代の変化にも刺激を受け、多くの作品が生まれました。

 

ラルティーグ少年とカメラ

ラルティーグは、芸術・文化さらには新しいテクノロジーに強い関心をもった両親のもとで、何不自由なく育てられました。 そんな彼とカメラの出会いは、幼い子供にありがちな一過性の興味として終わらず、生涯続く運命的なものとなります。 片時も「魔法の機械」を離すことなく、好奇な眼差しで一瞬、一瞬を収めていきました。グライダーのテスト飛行や、幽霊写真、発明一家らしく凧にカメラをつけた航空写真など動的瞬間をとらえた作品もあります。 また、天候や気温など撮影を行った際の状況を、お日様のイラストとともに事細かに日記に残しています。写真、そしてその日記からも彼の鋭い観察力と記憶力、そして几帳面さを窺うことが出来ます。


現在、ラルティーグの作品はフランス政府に寄贈されています。その数、11万点以上で、約3分の1を占めているのが、最近までほとんど紹介されてこなかったカラー写真です。 今回の展覧会では40点以上のカラ―作品をお楽しみいただけますが、この中からメイン画像を選ぶ際、図録をめくるたびに目を奪われたのは「フロレット」の名の入ったいくつかの作品でした。
フロレットとは、ラルティーグの3人目の妻。鼻筋が通り、目力の強い彼女の表情は、どの写真を見ても、とても印象的でした。そして、その美しさを引き立たせているのは、おそらくフロレットが好きな色「赤」の存在ではないかと思われます。それは同時に、ラルティーグにとっても大事な色だったのかもしれません。展示中のカラー作品の多くに、赤に限らず、ポイントになる色があり、ラルティーグならではの色彩感覚に気づかされます。

いくつになっても少年の心を持ち続けたラルティーグが、若く美しい妻を夢中で撮り続けた作品に見られる「色」に注目していくと、彼のモノクロ写真からは感じられなかったドキドキ感が味わえます。それは同時に、それまでのラルティーグへの印象を変えるような驚きとも言えます。

 

開催概要

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■会期:2018年4月21日(土)〜2018年6月3日(日)
■時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)
■休館:月曜日 
 ※祝日の場合は、翌火曜日
■料金 一般 1,300円(1,200円) 、学生 1,000円(900円)
 ※( )内は20名様以上の団体料金
■茶室:11:00〜17:00(不定休)
■カフェキューブ:10:30〜22:30
 ※カフェ休業日:月曜(祝日の場合は翌日)
 ※ランチタイム:11:30〜14:30
 ※ラストオーダー:22:00
TEL 075-752-5555
URL http://www.emuseum.or.jp/index.html

 

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