中村哲也展 NEW・BALANCE

ARTLOGUE 編集部2017/10/23(月) - 18:09 に投稿

入善町下山芸術の森発電所美術館では、平成29年度夏季企画展として、長野県在住の現代美術作家・中村哲也(1968年千葉県生まれ)の個展を開催いたします。

東京藝術大学院美術研究科で漆芸を学んだ中村は、表面性に着目し、昆虫の標本や亀の剥製、捨てられたトロフィーなど既存の物質を素材として使い、物質の持つ意味性と装飾性を増幅させた作品を発表。
1998年より「スピード」と「改造」という現代社会を象徴するテーマをとりあげたジェット機のような彫刻作品「レプリカシリーズ」を展開し様々なジャンルに発表の場を広げていきます。同時に形状の持つ固有のメッセージ性に着目し、強いものをより強く、速いものをより速くみせる為のペイントパターンそのものを彫刻として自立させ、抽象的でありながら強いイメージの純粋立体作品を発表しています。
造形から塗装まで全て手作業で行われているにもかかわらず、それを感じさせないほど精緻な仕上がりは「速さ」「強さ」といった抽象的概念そのものの表現となり、モノの持つ形と表面性、それに喚起される人間の感情との関係を提示しています。

「NEW・BALANCE」と冠された本展で中村は新しい展開に挑戦します。
錆びついた導水管や巨大クレーン、発電用タービンや計器類が遺された産業遺跡を想わせる発電所美術館の独特な展示空間全体を使い、ロボット型をした奇妙な造形の彫刻作品や、朽ち果てそうに見える近未来的な彫刻作品を発表します。それらは危険な雰囲気を漂わせ力を誇示するモノ、見たこともない形状で未知の力を想像させるモノ…
会場各所に点在するようインスタレーション形式で配置されつつも、一体一体が独立して鑑賞できるクオリティを持つ濃厚な立体作品の集合体となります。
目まぐるしく変わる世界情勢や積み上げられた様々な難問を抱える現代、作家が何を考え、答えをどう導き出すのか。
均衡を保っているかに見える現代社会を象徴するかのような、力と力がぶつかり合う会場で「新しい均衡」を探る世界を是非ご覧ください。

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中村哲也展 NEW・BALANCE
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